テレビCMの2つの種類
テレビCMにはまず「タイムCM」と「スポットCM」という、2つの種類があることを知っておくことが必要です。これにより実際の制作から放映に向けた費用感を把握しやすくなります。
タイムCM
タイムCMは、個別の番組単位で原則6ヶ月から契約を行いその番組の枠内で放映するCMです。番組の視聴者ターゲットとCMのターゲットがマッチしている際に、その番組に提供としてCMを流すことで宣伝効果を高めることを狙います。
たとえば旅行会社であれば、料理番組の放送時間枠でCMを放映するよりも旅行番組で放映したほうがより効果的です。特に視聴率の高い番組はさらに多くの視聴者がCMを目にすることになるため、宣伝効果が高まります。
また、番組によっては一社提供のものもあり、こうした番組では競合他社のCMが放送されないため非常に有利です。
ただし、タイムCMは6ヶ月と契約期間が長いことから広告料が高くなるため、主に大企業の利用が多くなっています。
スポットCM
スポットCMは時間枠を指定し、番組に関係なく放送されるCMです。契約期間が短く、曜日や時間帯も自由に選ぶことができます。また、CM放送時間の最小単位は15秒からとなっており、広告宣伝費が潤沢でない企業でもCMの放映が可能です。
このため、売上げが季節ごとによって大きく変わる企業や、キャンペーンに際にCMを放映したり、何本はプライムタイムやゴールデンタイムに、何本かは深夜といったように柔軟に組み合わせて放映することもできます。
このようにスポットCMは、企業や商品の特性に合わせて広告主や広告代理店がより効果的なCMを放映できるよう工夫しやすいことから、現在活用事例が増加しているCMです。
テレビCMの費用「放映料」と「制作料」
テレビCMの費用いくつかの要素によって構成されており、その内訳は放映料と制作料です。このうち放映料はCMの放送枠を確保するための費用となり、制作料は放送するCM素材を制作する費用でその性格が異なります。
放映料
CMの放送枠を確保するための費用である放映料は「CMの種類」、「CMの放送局」、「番組の視聴率」によって大きな違いが生じます。あくまでも目安となりますが、15秒のスポットCM1本放映する場合をみてみると、配信地域の違いによる放映料の単価の違いは以下の通りとなります。
- 北海道:3万円~7万円
- 関東圏:40万円~100万円
- 名古屋:7万円~14万円
- 関西圏:10万円~25万円
- 福岡:5万円~10万円
- その他地域:1万円~5万円
また放映料の算出は次のようにおこないます。
- 各放送局毎のCM放映に関するパーコスト × 延べ視聴率(GRP)
このうちパーコストとは番組CMやスポットCMの効率をみるために使われる指標のひとつで、世帯(個人)視聴率1%を獲得するために要する費用は広告費÷GRPで算出されます。
制作料
放送するCM素材を制作するための費用である制作料は、委託する場合には企画段階から必要になり、その期間によって異なります。そこで15秒のスポットCM用の動画作成では次の金額が目安となります。
- 静止画によるCM(撮影なし): 30万円~ (期間0.5ヶ月~)
- アニメーションによるCM(撮影なし) :50万円~(期間 0.5ヶ月~)
- 実写によるCM(撮影あり) :300万円~ (期間1.5ヶ月~)
ただし実際の制作費は企画費、撮影費、撮影機材や撮影場所の調達費、編集費といったようにその内訳は多岐にわたるため、内容こだわるほどより多くの費用が発生します。
一方で、コスト削減が目的で動画制作を自社でおこなったとしても、テレビCM用の規格に調整できなかったり、放送局の考査やオンライン送稿の対応ができないといったリスクやデメリットが発生してしまうことがあります。またこれは自社対応に限らず、CM制作の実績のない外部への委託でも同様です。
テレビCMの放映で抱きがちな課題感
ここまでのように、テレビCMは比較的費用面で柔軟性の高いスポットCMであっても敷居が高く感じられるかもしれません。ただしこれはテレビCMは費用が高額なイメージを持たれがちで、効果が追いにくく、PDCAも回せないといった思い込みも大きく影響しているからです。