コアタイムとは?設定するメリット・デメリットや導入方法

この記事では「コアタイム」について解説いたします。コアタイムはフレックスタイム制度において社員に出勤義務がある時間帯のこと。フレックスタイム制は働き方改革の切り札として導入が進んでいますが、近年ではコロナ予防対策としても注目されています。

そこでこの記事では、文字通りフレックス制の「核(コア)」となるコアタイムの定義やメリット・デメリット、導入方法などを解説するとともに、おすすめの勤怠管理システムも紹介します。

目次

そもそもコアタイムとは?

「コアタイム」とは、フレックスタイム制度における労働義務時間のこと。一般的な雇用形態では全ての労働時間が「コアタイム」といえます。ここではコアタイムとフレックスタイム制度について詳しく解説します。

コアタイムの定義と目的

「コアタイム(core time)」とは、フレックスタイム制で全社員に出勤を義務づける時間帯のこと。フレックスタイム制度では社員が始業時刻や終業時間を自由に設定できますが、例外として出勤を義務化した時間帯を「コアタイム」といいます。

コアタイムに法的な定義や設定義務はありませんが、事業主が社員の労働時間管理を効率的に行う目的もあるため、フレックスタイム制を採用する企業の多くがコアタイムを設定しています。

フレックスタイム制の仕組み

フレックスタイム制度とは、社員や従業員が一日の勤怠時刻や労働時間を自分の判断で決められる勤務形態のこと。フレックスタイム制を採用することで、仕事とプライベートの調和を図り、効率的で充実した勤労生活の実現を可能にします。

フレックスタイム制の労働時間は一日単位ではなく、一定の「精算期間」を決めて調整するのが基本。たとえば清算期間を1ヶ月、総労働時間を160時間というように設定します。清算期間を一週間とする場合、総労働時間は40時間が基本です。

コアタイムの導入によるメリット・デメリット

コアタイムを設定するメリットとしては、社員同士のコミュニケーションがしやすくなることがあげられます。

フレックスタイム制には始業時間や定時の概念がありません。各社員の勤務時間帯がずれてしまうのが常態となるため、社内コミュニケーションがとりにくいという問題があります。そこでコアタイムを設定すると、社内や外部の取引先との連携が容易になります。

またコアタイムは全社員が出社するため、会議やミーティング、プレゼンなどのスケジュール調整も迅速に行えるようになり、業務効率の向上が可能です。

一方、デメリットはコアタイムの設定によってはフレックスタイム制度本来の意図が失われる可能性があること。コアタイムはフレックスタイムを制限する手段です。

コアタイムを過剰に設定するとフレックスタイム制のメリットが失われ、社員のモチベーション低下や生産性の悪化、求人応募の減少といった悪影響につながる可能性があります。

コアタイムの導入方法

就業規則に明記する

フレックスタイム制を導入する場合は、所定の事項について労働者と会社側で労使協定を締結しなければなりません。次に合意した規定を就業規則等に明記する必要があります。

就業規則へのフレックスタイム制度の具体的な記載例を以下に示します。

第○条

標準となる1日の労働時間は、7時間(注・8時間-昼休み1時間)とする。
(始業終業時刻、フレキシブルタイム及びコアタイム)

第○条

フレックスタイム制が適用される従業員の始業および終業の時刻については、従業員の自主的決定に委ねるものとする。ただし、始業時刻につき従業員の自主的決定に委ねる時間帯は、午前6時から午前10時まで、終業時刻につき従業員の自主的決定に委ねる時間帯は、午後3時から午後7時までの間とする。

【出典】「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署)

労使協定で設定する

コアタイムを含むフレックスタイム制の導入にあたっては、以下の要件について労使協定を締結する必要があります。

対象となる労働者の範囲

フレックスタイム制において対象となるべき労働者の範囲はさまざまです。各企業の職種や業態、繁閑差などの実態を踏まえて労働者全員を対象とするか、それとも課や人ごとに設定するかを、労使協定によって規定することが必要です。

清算期間

フレックスタイム制における清算期間とは、労働者が労働すべき時間を算定する期間のこと。労使で協定して清算期間の長さと起算日を決めましょう。なお生産期間の上限は3ヶ月ですが、1ヶ月を超える場合は労働基準監督署に届ける必要があります。

清算期間における総労働時間

清算期間における総労働時間とは、清算期間中に社員が勤労すべき法定労働時間のこと。いわゆる「所定労働時間」をいいます。フレックスタイム制では日によって労働時間が変わるため、清算期間を単位として所定労働時間を決定します。

標準となる1日の労働時間

「標準となる1日の労働時間」とは、清算期間の総労働時間を、期間中の所定労働日数で割った時間のこと。割り算の分母は暦日数ではなく労働日数となります。この労働時間が、年次有給休暇を取得した際に支払われる賃金の算定基準となります。

コアタイム(任意)

フレックスタイム制を導入する場合、コアタイムの設定は必須ではありません。設定する場合はコアタイムの開始と終了の時刻を協定で定める必要があります。

フレキシブルタイム(任意)

フレキシブルタイムは、労働者が自分の労働時間を自由に設定できる時間帯のこと。コアタイムと同様にフレキシブルタイムも必須ではありません。設定する場合は開始と終了の時刻を協定で定める必要があります。

コアタイムの設定についてのよくある疑問

コアタイムは、フレックスタイム制の自由度を部分的に制限してしまうため、企業としては設定に悩んでしまう場合も。そこでここではコアタイムを設定する際によくある疑問に回答します。

コアタイムの設定に向いている時間帯は?

フレックスタイム制では、満員電車を避けるために出退勤時間を調整したり、自宅での育児や介護のために勤務時間を調整する場合がほとんどです。コアタイムを設定する際は全社員の希望や生活環境を考慮して10〜15時の範囲内で決めましょう。

この時間帯なら出勤者が多く、社員を招集しやすいうえに退社時間を気にする必要もありません。一般企業の営業時間帯ともマッチするので外部との商談や取引に支障が出にくいメリットもあります。

コアタイムにおける遅刻、早退、半休の扱いはどうなる?

フレックスタイム制には遅刻や早退、欠勤といった考え方はありませんが、コアタイムは就業義務があるため遅刻や早退が発生した場合は、不就労時間として賃金カットの対象になる場合があります。

ただしコアタイムの不就労時間を他のフレキシブルタイムに割り振ったり時間外労働をしたりすることで清算期間内の総労働時間を満たすことができれば、賃金カットにはなりません。

またコアタイムで半休を取得した場合の扱いは会社によって異なりますが、実際に働いた時間は労働時間と認定するのが一般的です。ちなみに精算期間内の実労働時間が総労働時間を超えた場合は残業時間として割増賃金の対象となります。

コアタイムを設定しないフレックスタイム制は可能?

フレックスタイム制度では、コアタイムとフレキシブルタイムの設定は必須ではありません。コアタイムのないフレックスタイム制を「オールフレックス制」「スーパーフレックスタイム制」などと呼ぶことがあります。

コアタイムを設定しない場合は、それぞれの社員が自分の働く日や時間帯を自由に設定することが可能です。ただし所定休日については、コアタイムを設定しない場合でも労使協議で事前に定める必要があります。

コアタイムは曜日別、日別に変更できる?

コアタイムを設定する場合、曜日や時間帯を自由に設定できます。コアタイムがある日とない日や、日によって時間帯を変えるなどの変形労働時間も設定可能。ただし勤務時間を明確にするためコアタイムの設定日時は事前に定める必要があります。

コアタイム導入に対応するおすすめ勤怠管理システム5選

フレックスタイム制では社員ごとに勤務時間が異なるため、画一的な勤怠管理ができません。そこでここでは勤怠管理業務の効率化に役立つサービスを5つ厳選して紹介します。

KING OF TIME(キングオブタイム)/株式会社ヒューマンテクノロジーズ

「KING OF TIME」は、株式会社ヒューマンテクノロジーズが提供する勤怠管理システムです。

クラウド型なのでPCとインターネット環境があれば利用が可能。管理サーバーやVPNの設置が不要で、高度な勤怠管理をリアルタイムで実現できます。料金は1人300円(月額)というわかりやすい価格。導入サポートは無償。低コストで高度な勤怠管理システムを利用できます。

ジョブカン勤怠管理/株式会社Donuts

「ジョブカン勤怠管理」は、株式会社Donutsが運営する勤怠管理システムです。シンプルな操作性と多機能性を両立。変形労働や裁量労働・フレックスなどの勤務形態の一元管理が可能。雇用形態や所属に合わせて豊富なオプション機能を選択できます。

料金は企業規模と利用機能数によってさまざまなプランから選択可能。初期費用とサポート費用は無料です。30日間の無料トライアルも利用できます。詳しくはお問い合わせください。

マネーフォワードクラウド勤怠/株式会社マネーフォワード

「マネーフォワードクラウド勤怠」は、株式会社マネーフォワードが提供するクラウド型の勤怠管理システムです。有給やシフト管理、就業規則の変更といった複雑な事務作業を自動化。勤怠の集計作業も自動化できるのでタイムカードも不要になります。

料金は経営規模に合わせた基本プランと各種サービスの従量課金分、および各種オプション料金の合計額です。1ヶ月無料のお試しトライアルも用意されています。詳しくは是非お問い合わせください。

ちゃっかり勤太くん/株式会社エイ・アイ・エス

「ちゃっかり勤太くん」は株式会社エイ・アイ・エスが提供する勤怠管理システムです。基本の機能に豊富なオプションをプラスして自由なカスタマイズが可能。製造販売、医療や金融など業種や業態ごとに異なる就業ルールにもジャストフィットします。

料金は簡易版・標準版・カスタムの3プランを設定。オプションサービスとして「Web給与明細」「NEXT(工数管理)」「アラートメール配信」を有料で提供します。まずは30日間の無料フリープランからお試しください。

jinjer (ジンジャー)勤怠/株式会社ネオキャリア

「jinjer勤怠」は株式会社ネオキャリアが提供するクラウド型勤怠管理システムです。打刻やまるめ設定、シフト管理、集計/出力、申請/承認など勤怠管理の効率化に不可欠な12の機能を搭載。マルチデバイス対応で外回り先でも簡単確実に利用できます。

jinjerは複数のプロダクトを組み合わせて利用できる統合データ管理システムです。料金は従量課金制。jinjer勤怠は1ユーザーあたり月額300円で導入できます。無料のお試しコースも利用可能。詳しくはお問い合わせください。

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