Web調査とは?メリットとデメリット、実施の流れも紹介

WEB調査とは

この記事では「Web調査」について解説します。

企業が市場の最新トレンドや、消費者ニーズを把握するために必要なマーケティングプロセスのひとつが市場調査です。

かつては訪問面接や郵送によるアンケート調査が主流でしたが、近年ではインターネットを利用したWeb調査が広がっています。

Web調査のメリットやデメリット、具体的な調査方法などを詳しく紹介します。どうぞ最後までお読みください。

目次

Web調査とは

Web調査とは、インターネットを利用したマーケティングリサーチや市場調査のことをいいます。

具体的には、企業が自社の商品に関する市場の評価や感想をインターネットを通じて収集・分析し、販売促進に役立てる活動のことです。他にも「インターネットリサーチ」や「オンライン調査」などと呼ばれますが、内容的には同じ意味になります。

Web調査を行う場合は、インターネットのクラウドソーシングサイトやSNSなどを通じて調査対象者を募集するか、専門のアンケートサービス会社に依頼するのが一般的です。

Web調査を専門とする調査会社は、「モニターパネル」と呼ばれる多数のモニター回答者と契約しています。調査会社は、クライアントから依頼を受けると、要望に合った属性のパネルを選び、インターネットでアンケートを実施します。

ちなみに「web」とは英語で「クモの巣」のこと。現在では「World Wide Web(世界中に蜘蛛の巣のように張り巡らされたネットワーク)」の短縮語として、「Web」または「WEB」でインターネットのことをあらわすようになりました。

Web調査のメリット

Web調査のおもなメリットとしては以下4つのポイントをあげることができます。

1.調査コストが抑えられる

Web調査では、インターネットのEメールやSNSを通じてモニターパネルとやりとりします。そのため郵送で調査票を配布したり、調査員が街頭で調査したりする旧来の方法に比べると、郵送費や人件費などのコストを大幅に抑えることが可能です。

2.対象者の属性(性別や年代、商品の使用経験の有無など)を絞り込みやすい

Web調査会社の多くは100万人単位のモニターパネルと契約しています。各パネルはあらかじめ年齢・生年月日・住所など基礎な個人データを登録しているので、調査に最適な対象者の属性をフィルタリングで容易に絞り込めるのが特徴です。

3.調査の対象者を大量に募集しやすく、回答も収集しやすい

インターネットは不特定多数の人々が毎日のように利用しているので、Web調査では、登録されたモニターパネル以外でも幅広い属性の対象者を大量に募集することができます

しかもアンケートの設問に動画を使ってわかりやすくしたり、回答者の属性に合わせて細かく質問を変えるといった紙の調査票ではできないこともWeb調査では可能です。また、インターネットの特性上、回答も瞬時に収集できるのも特徴のひとつです。

4.調査実施から回答の分析まで短期間で実施できる

Web調査では対象者の選別からアンケートの送信までを短期間に行うことができます。回答もオンラインで自動的に回収されますし、データ分析までのプロセスも短期間で済みます。

特にアンケートの結果を統計的に分析して数値化するような調査では、回答を収集しながらリアルタイムに分析結果を表示できることもWeb調査ならではのメリットといえます。

Web調査のデメリット

Web調査のデメリットとしては、大きく分けて以下のふたつのポイントがあります。

1.調査対象となる回答者の属性に偏りがある

Web調査の場合、世代や環境によってパソコンとスマホの利用率に差があることに注意しなければなりません。調査内容によっては回答者の属性に偏りが生じてしまうため、他の調査の併用も必要になります。

2.虚偽回答が混入する可能性があり、信憑性が高くない

Web調査はユーザーの匿名性が高く、本来は対象者でない人が謝礼を目的に参加したり、多重回答をしたりする可能性がないとはいえません。またライバル企業や悪質なパネルの虚偽回答が混入するケースも想定しておくべきでしょう。

Web調査の流れ

Web調査の基本的な流れは、旧来の市場調査と同様です。大きく分けて以下の4段階のプロセスで進めていきます。

1.調査企画の設計

Web調査を行う際は、まず最初に調査企画の設計から着手します。

たとえば商品開発のために新たなニーズを調査するとします。企業がターゲットとする消費者はどんな商品を望んでいるか、その商品によってどの程度の売り上げが期待できるか。そのような課題を設定します。

次に有効な回答を得るために最適な調査内容を具体化し、その結果をどのように活用するかを検討します。

ここで注意したいのは、調査結果の活用方法を事前に検討するためには、結果をある程度予測して、仮説を組み立てる必要がある、ということです。その仮説を元に調査対象の属性と人数、質問内容などを検討して調査企画を設計します。

2.調査票を作成し実際に調査する

調査企画の設計ができたら、次に調査票を作成し、実際に調査を行います。調査票の質問は回答者に理解しやすいように明確で具体的な内容にすることが重要です。回答は5分程度ですむように質問数をなるべくおさえ、回答もマルバツやチェック式にして答えやすい調査票をめざしましょう。

3.集計しデータをチェック

調査を終えたらアンケートの回答を集計してデータをチェックします。集計方法にはおもに「単純集計」と「クロス集計」の2つがあります。

「単純集計」は、アンケートの回答結果をそのまま集計する方法です。たとえば新製品の認知度を問う質問に「知らない」と答えた人が45パーセント、「知っている」と答えた人が55パーセントというように質問ごとに結果を集計します。

「クロス集計」は複数の質問の回答を組み合わせて集計する方法です。たとえば新製品の認知度と性別の答えを組み合わせると、新製品を「知らない」と答えた人が45パーセント、そのうち女性が75パーセントというように集計します。

さらに「年代」や「職業」「居住地」といった複数の項目を加える多重クロス集計もありますが、クロス項目が増えると相対的にモニターの母数が減ることになるので、回答数が少ない場合には多重クロス集計は避けた方が良いでしょう。

4.分析しレポート化

データの集計とチェックが終わったら、企画設計の段階で立てた仮定に沿って分析を行い、レポート化します。

分析の結果が仮定と大きく違った場合は、マーケティング戦略の見直しが必要かどうかも含めて、レポートで明示しなければなりません。

Web調査の注意点、ポイント

Web調査を実施する場合、注意すべきポイントとしては以下の3つがあります。

1.調査対象がインターネットユーザーに限られる

Web調査は当然ながらインターネットの利用者以外は対象になりません。近年はスマートフォンの普及によって調査対象も広がりをみせていますが、調査内容によっては求めている結果が得られない場合もあります。

2.インターネットのデバイスがスマートフォンかパソコンかによって回答者の属性が変わってしまう

Web調査では回答者の世代によってパソコンとスマートフォンのユーザー比率が変わってしまい、回答者の属性に偏りが生じてしまう恐れがあります。そのため調査の内容によっては正しい分析ができなくなるので注意が必要です。

パソコンとスマートフォンの両ユーザーから偏りのない回答を得るためには、どのデバイスでも平等に回答できるようにインターフェイスを工夫することも重要なポイントとなります。

3.調査表の文言や質問数はコンパクトにまとめる

市場調査を行う場合、なるべく多くのデータを得ようと質問数を多めに設定しがちですが、質問が多いと回答者が飽きてしまい、回答を途中で打ち切られたり、後半の内容が手抜きになってしまう危険があります。

調査票の質問や文面はできるだけコンパクトにまとめましょう。

4.調査票の質問や文言を途中で変更しない

Web調査では調査開始後も調査票の加筆修正ができます。そのため調査を開始したあともクライアント企業から内容変更や追加のリクエストが寄せられることも珍しくありません。

そのような優柔不断な調査では、精度の高い分析結果を得るのは困難になります。回答者に余計な負担をかけないためにも、調査の設計段階で目標と課題をしっかり定めて、無駄のない調査票を作成しましょう。

まとめ

・Web調査とは、インターネットを利用したマーケティングリサーチや市場調査のことをいいます。

・Web調査にはコストが抑えられることや対象者属性を絞り込みやすいなどのメリットがあります。

・Web調査には回答者に偏りがあることや虚偽回答の可能性もあるといったデメリットもあります。

・Web調査では回答者の世代によってパソコンとスマートフォンのユーザー比率が変わってしまうなどの注意点があります。

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