この記事では企業の業務改善について解説します。「改善(KAIZEN)」といえばトヨタ自動車の生産管理手法として国際的にも有名ですが、業務改善の必要性は生産管理にとどまらず全ての業種におよびます。
そこでこの記事では業務改善の意味や具体的な施策の流れ、上手に行うコツなどを解説するとともに、業務改善に役立つおすすめのWebツール12種を厳選。ぜひ最後までお読みいただき、皆様の業務にお役立てください。
業務改善の基礎知識
ひとことで「業務改善」といっても、具体的な意味と方法は業種や業態によってさまざまです。そこでまず最初に「業務改善とは何か」という基礎知識から解説します。
業務改善とは?
「業務改善」とは、現状の業務フローを見直して生産性や効率性、品質などを向上させる施策を立案・実行すること。具体的には業務に要する時間とコストの無駄を可能な限り排除し、付加価値の高い商材を顧客に提供することを意味します。
業務改善のメリット
業務改善によって得られるメリットは多岐にわたります。業務プロセスの改革と最適化によって無駄な労働時間が削減できれば、コスト削減も可能です。さらに従業員の労働環境が改善され生産性も向上します。
経費削減との違い
「業務改善は経費削減から」と考える企業経営者は少なくありません。そもそも「経費削減」とはコストの無駄を削減する取り組みのこと。固定費を見直したり、消耗品の無駄遣いをなくすなどの施策を意味します。
一方、業務改善とは企業活動と社員の働き方に関わる全てのプロセスを効率化して無駄を削減することが目的です。経費だけでなく業務フロー全体を通じて可能な限り無駄を取り除くことで生産効率の向上をめざすのが業務改善です。
業務改善は対象範囲が広く、経費削減も業務改善の一貫として行われますが、逆に業務改善のために経費を費やすケースもあり、経費削減の目的が業務改善と一致するとはいいきれません。
業務改善の最大の目的は企業活動の効率化にあります。経費や支出の削減もその手段のひとつではありますが、経費削減だけで業務が改善できるわけではないことに注意しなければなりません。
ちなみに「業務改革」を意味するBPR(Business Process Re-engineering)や、「基幹系情報システム」を意味するERP(Enterprise Resources Planning)なども業務改善に関連する概念といえます。
業務改善の流れ
業務改善のポイントは企業の業種や業態によってさまざまです。そこでここでは業務改善の基本的な流れを4つのポイントにしぼって解説します。
STEP1:業務内容を可視化し、現状を把握する
業務改善を計画的に進めるには、まず業務内容を可視化して現状を把握することが重要です。具体的には業務フローを図式化したり、従業員にアンケートを行い結果を分析したりすることで担当者や目的が不明瞭な業務を発見しやすくなります。
STEP2:改善できる問題点を洗い出し、優先順位を決める
次に可視化された業務から改善すべき課題や問題点を洗い出します。改善点が複数ある場合は優先順位を決めましょう。その際は「何が最も手がけやすいか」ではなく、改善によるインパクトが大きい課題から始めることが大切です。
または改善を実現できるまでの期間や工数、費用などを考慮して優先度を検討すると良いでしょう。
STEP3:改善目標を設定し、必要なタスクを決める
業務改善に取り組むと改善すべき課題が山のように出てきて途方に暮れてしまうことが多々あります。そんなときは各項目ごとに「何をどのような状態にすべきか」という具体的な目標を定めてください。
次に目標達成のために必要な解決方法とタスクを模索し、検討します。タスクが決まったら、次に業務改善のスケジュールを立ててフレームワークを構築します。
STEP4:タスクを実行し、効果検証を行う
改善計画に着手したら定期的にPDCAサイクルを回して施策の改善効果を確認しましょう。改善案や方法などは必要に応じて柔軟に修正していきます。計画通りの成果が出せれば、そのままタスクを維持継続できるように仕組みを整えていくと良いでしょう。
業務改善の主な方針
ある程度事業規模が大きい会社では、業務改善を行おうにも要件が複雑だったり部門が多すぎたりして手が回らないケースが少なくありません。そこで業務改善の基本方針として、以下の改善方法を実践してください。
不要な業務を廃止・簡素化する
大企業や老舗企業の場合、惰性で持続している業務や部署、旧弊なシステムなどがいくつも存在します。現状の業務プロセスを可視化して、実情に合わない業務や無駄なシステムがあれば思い切って廃止や簡素化を検討しましょう。
業務をシステム化・自動化する
インターネットの普及によって業務を効率化できるツールが安価で利用できるようになりました。現状の業務に省力化できる改善点があればツールの利用を検討しましょう。
たとえばバックオフィス業務にタスク管理システムを導入すれば、従業員のスケジュールや経費の精算、経理業務の自動化によって作業効率が向上。従業員の業務量も削減できて人件費削減にもつながります。
業務改善システムは数多くの製品が販売されています。導入する際は他社の成功事例や参考記事を検索したり、顧客の評価に耳を傾けるなどして最適なシステムを構築しましょう。
似ている業務を集約する
ある程度事業規模が大きい会社では、バックオフィス業務の担当部署を部署やチームごとに分散しているケースがあります。それをひとつに集約することで業務の効率化を達成できる場合があります。
ルールを決めて標準化する
人事異動が少ない会社では業務の属人化に陥りがちです。このような場合は業務を標準化するためにルールを決めてマニュアルを作りましょう。社員にマニュアルを周知させて属人化を解消することで従業員の負担を均一化できます。
業務の一部をアウトソーシングする
業務改善をしようにも人手がないという場合は、リソースが不足する作業をアウトソーシングしましょう。全ての業務を社員が行うよりもコストカットできるだけでなく、浮いた時間や人材をコア業務に充当することで生産性向上が見込めます。
業務改善を上手に行うコツ
業務改善を行いたくても社内のコンセンサスを得るのは容易ではありません。そこで業務改善を上手に行うコツとして、以下のポイントを紹介します。
QCDを意識する
「QCD」とは「Quality(品質)」「Cost(費用)」「Delivery(納期)」のこと。業務改善の目的は高品質と低コストを両立させること。そして納期を厳守すること。この3つは製造業において業務改善の最も重要なポイントとなります。
消費者にとっても高品質の商品を欲しいときに安価で購入できるのが理想です。もちろん企業のQCDは消費者のそれとは異なりますが、業務改善においては消費者的な目線も考慮してバランスのよいQCDの達成を心がけましょう。
業務をルーティンとイレギュラーに分ける
企業の日常業務を大きく分けると習慣的に行われるルーティン業務と、突発的に発生するイレギュラー業務の2つがあります。業務改善を図るには、それぞれの業務にマッチする改善策を考えることが必要です。
ルーティン業務は省力化と効率化を図りやすい作業とされています。システムやツールの導入による自動化はもちろん、アウトソーシングもしやすいのがメリットです。一方、イレギュラー業務は属人性が高く、省力化が難しい一面があります。
そこでルーティン業務を省力化して、空いたリソースや労働時間をイレギュラー業務に回すことで業務効率と生産性の向上と同時にコストダウンも可能になります。
BPMN(ビジネスプロセスモデリング表記法)で図を作成する
BPMN(Business Process Model Notation)はOMG(Object Management Group)で標準化されたビジネスプロセスの表記法のこと。BPMNは人が関わる業務のワークフローの表記がメイン。専用ツールを活用すれば導入も簡単に行えます。
業務改善のプロセスを世界共通規格のBPMNで図式化すれば、国内外に周知できるのが一番のメリット。機能も豊富でイレギュラーな業務フローも詳細化できるため、システム導入やアウトソーシングなどを検討する際にも活用できます。
業務改善に便利なツール13選
業務改善には専用ツールの導入がおすすめです。ただ市場には数多くのアイテムやツールが出回っているため、その中から最適なものを探すのは大変です。そこでここでは業務効率に役立つ便利なツールをタイプ別に14種厳選してご紹介します。
タスク管理ツール
タスク管理ツールは、プロジェクトを担当する社員それぞれのタスクを把握できるツールです。タスクの内容や進捗状況、納期や達成度などの情報を管理することでタスクの処理し忘れを防ぎ、スムーズな業務進行をサポートします。
Trello(トレロ)/Atlassian
「Trello」 は、オーストラリアのシドニーに本社を置くソフトウェア企業アトラシアン (Atlassian)が提供するカード式(かんばん方式)のタスク管理・コラボレーションツールです。1 つのボードでチームの全体像からタスクの詳細まで把握できます。
料金は無料の「Free」、月額10ドルの「Business Class」、大企業向けの「Enterprise」の3コース。「Business Class」には無料トライアルコースも用意されています。くわしくはセールスチームにお問い合わせください。
Backlog(バックログ)/株式会社ヌーラボ
「Backlog」は株式会社ヌーラボが提供するプロジェクト管理ツールです。タスク・プロジェクト管理に必要な機能を1つに集約。シンプルデザインで直感的に使えるガントチャートやカンバンボードを活用して、プロジェクトの状況把握や課題の変更ができます。
料金プランは個人向けの「フリー」から「プラチナプラン」まで5コースを設定。全てのプランが30日間無料で試用可能。料金は一番人気のプレミアムプランで月額21,780円となっています。
Adflow(アドフロー)/株式会社クリエイターズマッチ
「Adflow」は株式会社クリエイターズマッチが提供するクリエイティブ制作専用のプロジェクトツールです。素材や制作物のバージョン管理、案件ごとのタスクとスケジュール管理に必要な機能を搭載。煩雑な制作情報やファイルも一元管理で見える化できます。
料金プランの詳細やお見積もりについては直接お問い合わせください。
Save Point(セーブポイント)/株式会社MUGENUP
「Save Point」は株式会社MUGENUPが提供するクリエイティブ制作専用のプロジェクト管理ツールです。3DCGやイラスト、アニメなどの制作現場での情報共有やスケジュールなどを一元管理。制作に集中できる環境を構築します。
料金プランについてはお気軽にお問い合わせください。
Ranabase(ラーナベース) /ユニリタ
業務を可視化し、継続的に改善する方法をチームで共有できるツールです。関係者を招待して協同作業やレビューが可能。メンバー同士で「気づき」を書き込んで課題や対策をディスカッションできます。
料金は無料の「ライトプラン」、1ユーザーあたり550円(税込)の「ベーシックプラン」、細かいシステムの業務要件定義を叶える「プロフェッショナルプラン」の3プラン。
コミュニケーションツール
コミュニケーションツールは社内での円滑なコミュニケーションを実現。情報共有を容易にすることで認識の行き違いを防ぐためのツールです。社員同士でリアルタイムに情報共有できるため、無駄な会議を減らすなど労働時間の削減にもつながります。
Chatwork(チャットワーク)/Chatwork株式会社
「Chatwork」はChatwork株式会社が提供するクラウド型のビジネスチャットツールです。チャット・タスク管理・ファイル管理・ビデオ/音声通話というシンプルな4機能でビジネスコミュニケーションの活性化と業務の効率化を誰でも簡単に行えます。
料金プランは無料の「フリー」、法人向けの「ビジネスプラン」、管理機能を強化した「エンタープライズプラン」の3プランを提供。「ビジネスプラン」の料金は1ユーザーあたり月額500円(年間契約)となっています。
Slack(スラック)/Slack Technologies社
「Slack」はアメリカのSlack Technologies社が開発運営するSaas型のビジネスコミュニケーションツールです。Slack では仕事のやりとりを専用のワークスペースに集約。スムーズな連携を実現します。メッセージやファイルの共有やアプリとの連携も可能です。
料金は無料の「フリー」、有料の「スタンダード」「プラス」「Enterprise Grid」の4プランを用意。「スタンダード」の料金はアクティブユーザー 1人当たり月額850円(年払い)となっています。
Beat Shuffle(ビートシャッフル)/株式会社 Beat Communication
「Beat Shuffle」は株式会社 Beat Communicationが提供するビジネスSNSプラットフォームです。SNSでおなじみの「つぶやき」「メッセージ」「コミュニティ」などの機能を搭載。企業間での連携や様々なコミュニケーションを可能にします。
料金プランはクラウド型とオンプレミスで各種コースを用意。クラウド型では1ユーザーあたり月額540 円の「ビジネス」と、月額1,200円の「エンタープライズ」の2プランから選択可能です。
Goalous(ゴーラス)/株式会社Colorkrew
「Goalous」は株式会社Colorkrewが提供する、社内SNS型の目標管理ツールです。メンバー各自の目標と活動を見える化してスムーズな社内情報共有を実現。フィードバックを活性化して社員のエンゲージメントとモチベーションを高めます。
利用料金は月額30,000円(税別)から。ユーザーの要望に合わせて様々なサポートプランを提供しています。詳しくはお問い合わせください。
IVRy(アイブリー)/株式会社Peoplytics
IVRy(アイブリー)は1日100円から利用できる電話自動応答サービス(IVRシステム)です。
自由な分岐設定と自動応答・SMS返信・電話の転送(リダイレクト)・録音機能・ブラウザ通話機能を活用し、
営業電話・顧客からの問い合わせ・注文・予約等の様々なシーンを自動化・効率化します。
また、営業時間内と営業時間外でルールを変えることや、
電話履歴の確認や顧客登録機能等、多数の便利な機能が存在しています。
RPAツール
「RPA」は「Robotic Process Automation」の略称で、ロボットによる業務の自動化をあらわします。RPAツールはAIでPC作業を自動化できるソフトウエアロボットの意味です。
RPAツールの導入により請求書の作成やECサイト売上の自動集計、棚卸しなどの経理事務のようにルーティン化したPC作業を自動化することで労働時間を削減し、業務の効率化を実現できます。
WinActor(ウィンアクター)/株式会社NTTデータ
「WinActor」は株式会社NTTデータが提供するソフトウェア型の純国産RPAソリューションです。WindowsPCで操作できるアプリケーションや個別の業務システムの操作方法を学習。ユーザーの様々なPC業務を自動操作で代行します。
料金プランは2種類のライセンスと2種類の機能から選択できます。くわしくは直接お問い合わせください。
BizRobo!(ビズロボ)/RPAテクノロジーズ株式会社
「BizRobo!」はRPAテクノロジーズ株式会社が提供するソフトウェアロボットです。オフィスワーカーがPCで行うルーチンワークを学習して高精度で代行。人手不足による作業負担やミスの増加を防ぎ、生産性と効率性を高めます。
料金については直接お問い合わせください。クライアントのニーズに合わせて最適なプランを提供します。
ziggza flow / ジグザ株式会社
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