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働き方改革で残業時間はどう変わる?上限や罰則、よくある疑問

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政府が掲げる働き方改革の一環として、労働基準法が改定され、特に労働時間、残業時間が変わりました。これまでとは大きく違い、違反した場合には行政指導のみならず罰則が設けられているのが大きな特徴です。



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この記事では、働き方改革による残業時間の変更点について解説します。

政府が掲げる働き方改革の一環として、労働基準法が改定され、特に労働時間、残業時間が変わりました。
これまでとは大きく違い、違反した場合には行政指導のみならず罰則が設けられているのが大きな特徴です。
企業側にとっては大きなリスクとなりえる可能性がありますが、遵守するには労働者側にも大きな意識変革が必要になってきます。
ここではそのために必要な変更点やその内容を紹介していきます。

働き方改革による残業時間の変更点

これまでも労働基準法では労働時間、残業時間が定められていましたが、残業時間の上限規制や罰則規定など、これまでと大きく変更されています。
企業や経営者の意識にもよりますが、内容を把握せずこれまでと同じような勤怠管理を続けることは企業や管理者にとって大きなリスクです。
これらを避けるためには、企業側や管理者側が変更された内容を正しく理解し、従業員にも伝えてそれぞれで意識することが重要になります。
ここでは、改正後の変更点を紹介します。

残業時間の上限規制

労働基準法による残業時間には原則として、法定時間外労働(残業)は月45時間・年360時間の上限規制が設けられています。残業が増える繁忙期などは注意が必要です。
これまでも労働時間の上限は示されていましたが、違反しても法の規制はなく行政指導だけでした。
厚生労働省による働き方改革関連法における今回の変更では、遵守事項としてしっかりと規制・義務化されます。違法性のある場合は労働基準監督署が罰則付きで取り締まっているため、予め法律と従来の管理を見直し、自社におけるルールや計算方法などを整理しておくことがポイントです。
大企業は2019年4月からで中小企業は2020年4月より施行開始です。
建設事業や医師、自動車運転業務など業種や事業によっては、勤務体系が複雑なため2024年3月31日まで、規制の適用が猶予されています。

労働基準法違反時の罰則規定

これまでとの大きな変更点として罰則規定が設けられたことです。
そのため、法的に労働時間の管理が求められるということになり、それを怠った場合にはペナルティがあるということになります。
労働時間の上限規制を超えると、企業側に6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金です。
法改正されるまでは、罰則はなく行政指導のみで罰則はありませんでした。

上限規制の例外規定

上記で記した通り上限労働時間には規制がありますが、特別条項付き「36協定(サブロク協定)」を締結しておくと、法定時間外労働の上限時間を拡大できます。
ただし、上限を超えてよいのは「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等」イレギュラーがある時となっています。
つまり、通常業務内では決められた労働時間、時間外労働時間を越えることはできません。
また、拡大できる時間外労働時間は"年720時間以内""複数月平均80時間以内(休日労働を含む)"月100時間未満(休日労働を含む)"となっているので注意が必要です。
残業時間だけではなく休日労働を含む場合は、複数月の平均が80時間以内、月100時間未満となるよう決められています。
複数月の平均が80時間以内というのは少し複雑ですが、「隣接する6カ月平均、同5カ月平均、同4カ月平均、同3カ月平均、同2カ月平均のすべてが月80時間以内であること」といことです。
例えば、隣接する6カ月平均では4月から9月の平均時間外労働時間、隣接する4カ月平均では6月から9月の平均時間外労働時間、隣接する2カ月平均では8月から9月の平均時間外労働時間といった具合となります。
加えて、月45時間以上の残業が認められるのは年間6カ月までです。
法改正前までには、36協定による時間外労働の拡大に上限はありませんでしたが上限が設定されたという部分が変更点となります。

また、新しい商品や技術の研究開発業務は例外として、残業時間の上限規制は受けません。ただし、労働時間が1週間あたり40時間を超え、月100時間を超えた場合には医師の面接指導が必要です。

(参考)https://www.legal-security.jp/column/487

働き方改革における残業時間規制の目的と起こりうる問題

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大きく変更になった残業時間の規制には、生産性の向上や過労死などを避けるためのワークバランスの充実などさまざまな目的があります。ただ、それに伴い起こりうる問題があります。例えば業務効率化に伴う持ち帰り残業などのケースもその一つです。これらの点を会社はもちろん、上司がしっかりと認識しておくことも職場でのトラブル回避の重要なポイントです。

ここでは、目的と問題に関してそれぞれ内容を紹介していきます。

残業時間規制の目的

生産性の向上

日本では労働力不足が社会問題化し、今後の経済成長が懸念されています。
これを解消するためには生産性の向上が必須です。

しかしOECDが2020年発表した加盟国37国中、国別労働生産性で日本は21位という結果になっています。
残業時間を規制することで業務の無駄を省くなど、効率化を進めることで長時間労働の解消につながるというのが目的の一つです。
企業側も労働者側も意識の改善が必要になりますが長時間労働を強制しない快適な労働環境を整備することで、生産性向上を図れます。

参照:
OECD諸国の労働生産性の国際比較/https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/report_2020.pdf

ワークライフバランスの充実

従業員一人ひとりがモチベーションを持ち、充実した意識で就業することはそのまま企業の組織力にもつながります。
そのためには、精神や身体の状態が健康的でなければいけません。
働き方改革における労働時間の短縮により、従業員がプライベートに時間を割きやすくなります。
余暇を充実させることで、労働時のモチベーションアップも期待できるということです。

残業規制で起こりうる問題

サービス残業の増加

仕事量が変わらないまま残業時間の上限を超えないように働く場合、サービス残業をする従業員が出てくる可能性があるという問題があります。
管理側・労働者側双方のよく理解し意識の変化がなければ、これまでとの業務内容に変化がなく就業時間が延びる可能性がでてきます。
雇い側が施策や根拠がなく労働時間だけを現場に求めた場合、サービス残業が横行するという可能性があるということです。
企業には従業員の仕事量を調整することやサービス残業にならないような施策や管理が求められます。

給料の減少による従業員の生活苦

これまで残業代を含めた給与で生計を立てている従業員にとって、労働時間の減少が生活苦につながることがあります。
残業時間を管理し効率的に業務を管理したことで労働時間が短縮され生産性があがることは企業にとっては良いことです。
しかし、従業員側にとっては残業代が減少したことで収入が減ってしまうということにつながります。
企業によっては、副業を禁止してるところもあるのでその場合は、従業員にとってはこれまでの生活を確保できないということです。
生活苦による従業員の離職を防ぐには、昇給や副業の許可などの施策が必要です。

管理職の負担増

基本これまでの仕事量は変わらないため部下の残業時間が減った分、管理職に業務のしわ寄せがくる可能性があることに注意が必要です。
管理職に負担が偏らないよう仕組みを整えたり、部署全体で工夫して生産性をあげるなどすることが大切になります。
繰り返しになりますが、いかに従業員一人ひとりの生産性を上げるということが必要です。

残業時間に関するよくある疑問

ここでは、法定労働時間と所定労働時間の違い、残業時の割増賃金率、そして、残業時間に関してよくある問い合わせや疑問を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

法定労働時間と所定労働時間の違いは?

法改正によって上限規制の対象になるのは「法定外労働時間」です。
法定労働時間は、週40時間、1日8時間と決められています。

法定労働時間を超えて働いた部分が法定外労働時間(残業時間)になるということです。
ただし、商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業などで、常時10名以下の労働者を要する一部特例事業などは週44時間までを法定労働時間と見なすことが認められています。
この場合、就業規則に定めることや労使協定の締結の手続きが必要です。
所定労働時間とは企業の規定によって定めれられた勤務時間になります。
例えば勤務開始が9時で休憩1時間、終業が17時決められている場合、所定労働時間は7時間ということです。
法定労働時間は法によって定められた労働時間で所定労働時間は企業によって定められた労働時間というのが違いです。

残業時の割増賃金率はどのくらい?

法定時間外労働では、従業員に支払う給与を割増して支払わなければいけません。
中小企業など比較的規模の小さな企業では、曖昧になっていることも多くなっているので注意が必要です。

また、業種によっては従業員が深夜勤務になる場合もありますが、この場合はさらに割増した賃金の支払いが必要になってきます。
支払うべき給与は、定められた時給の1.25倍(社員などの場合は「1時間あたりの賃金(時給)×1.25(割増率)×残業時間」で算出)になります。
深夜勤務(労働基準法では「22時から翌朝5時」の間)の場合も1.25倍の割増賃金を支払うことが必要です。
法定時間外労働と深夜勤務が重なった場合には、1.5倍となります。

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