MAツール導入のメリットと導入のポイント

2020年11月11日更新

MAツールは2000年代にアメリカで普及し始めましたが、日本においてもマーケターの間で注目されつつあり、徐々に浸透してきています。このため、導入企業は増加傾向にありますが、一方で十分にその機能や運用方法が理解されているとはいえないケースも少なくありません。

そこでこの記事ではMAツールとはどんなものなのかをはじめとして、MAツールを導入するメリットや主な機能、導入する際のポイントについて解説します。

MAツールとは

MAとはマーケティングオートメーション（Marketing Automation）を指し、従来人の手によって行っていた定型的な業務や、膨大な時間とコストのかかる大量の作業や複雑な処理を自動化したsり効率化したりすることです。

また、これらを実現するソフトウェア・ツールをMAツールあるいはマーケティングオートメーションツールといいます。

MAツールを導入するメリット

企業における販売促進ツールとして注目が集まるMAツールですが、導入によってさまざまなメリットが期待できます。

業務効率化

MAツールはその名の通り、マーケティングにおけるプロセスの一部を自動化できるツールです。このため、情報収集方法や購買プロセスの変化に伴うマーケティング施策の変化に対応し、膨大な業務を効率化することができます。

キャンペーン効果のアップ

MAツールなら、マーケティングにおけるキャンペーン効果も期待できます。これはMAツールがマーケティングに必要不可欠なさまざまな機能を備えているためです。

企業は商品・サービスに応じて、複数のキャンペーンを同時進行させています。最近では、オフラインのキャンペーンもあればオンラインのキャンペーンも必要です。そのため、キャンペーンの管理は複雑になりがちです。

MAツールなら複数のキャンペーンを簡単に管理できるので、より効率的にキャンペーン施策を実行することが可能です。

マーケティングの可視化と最適化

MAツールを導入すれば、営業やマーケティングで必要となるデータの大半を可視化し、最適化することができます。これはMAツールが顧客情報や顧客リストをはじめ、実行する施策の効果に関しても要素ごとに細かく測定できるからです。

これにより改善点も明確になり、スピーディーなPDCAの実現、常に最適化されたマーケティング活動を実行できます。

MAツールの主な機能

MAツールといってもその種類は多岐にわたり、機能はツールやベンダーによって同じではありません。そこで、比較的多くのMAツールに共通して搭載されている機能を紹介します。

リード管理

リード管理は見込み顧客の情報となるリード情報を正確に管理し、マーケティング活動を自動化する機能です。具体的には自社サイトへのアクセス状況やメール開封率などを管理するもので、トリガーを設定することにより、リードの行動に応じた最適なタイミングでアプローチすることを可能にします。

またリード管理はマーケティングオートメーションにおいて他の機能とも連携が深いことから、多くのMAツールにとって根幹ともいえる機能です。

スコアリング

マーケティングオートメーションでは特定の条件にもとづいて「見込み」という概念を数値化できます。これをスコアリングといい、従来のようにマーケティング担当者の感覚に依存することなく見込み顧客を客観的に評価することが可能です。

実際には「メールの開封」や「Webサイトへの訪問」、「製品データのダウンロード」、「イベント参加」といった見込み顧客の行動を点数化し総合点を算出することによって見込みの度合いを評価します。

メールマーケティング

Eメールの作成および配信を行う機能です。MAツールによってテキストメール、あるいはHTMLメールのさまざまなテンプレートも用意されます。

またリード管理の機能と組み合わせることにより見込み顧客の興味や検討度合いに合わせた内容のメールを配信したり、最適なタイミングで自動的にメールを配信することもできます。

ランディングページ作成

ランディングページは、広告などから流入した見込み顧客のための窓口です。お問い合わせフォームなどもこれにあたり、ランディングページを設置しておくことによってアクセスログとリード情報の紐づけもできます。

多くのMAツールはあらかじめ用意されたテンプレートを活用することで、簡単に素早くランディングページが作成可能です。

WEB行動解析

見込み顧客の行動を可視化し、解析する機能です。WEB行動解析を活用すればWebサイト上で見込み顧客が「どのページを」「どのくらいみたか」かがわかります。

さらにWEB行動解析では製品やサービスへの関心度などが把握できるほか、連絡先が得られていれば営業アプローチに結びつけることもできます。

ソーシャルマーケティング

SNS（ソーシャルネットワークサービス）によるマーケティング活動が大きな注目を集めるのに伴って、MAツールにはSNS上でのマーケティング活動を支援する機能も備わっています。

SNSでは会社や趣味などの共通項でユーザーが結びついていることも少なくないことから、SNS広告のターゲティング精度が高いとされ、ソーシャルマーケティングを運用すれば、より効果的なマーケティングが実現します。

顧客管理システム連携

MAツールには、SFA（SalesForceAutomation：営業支援システム）やCRM（CustomerRelationshipManagement：顧客関係の管理ツール）と連動できるものが少なくありません。

これにより、SFAで営業フェーズを担い、CRMによって受注後の顧客とのエンゲージメントを高めてリピーターやロイヤルカスタマーを育成し、MAツールによって商談創出までのマーケティングフェーズを担うといった業務の効率化が図れます。

MAツール導入の際のポイント

実際にMAツールを導入する際には自社のマーケティング活動に適しているかを見極めなければなりません。そのためにはMAツールを選ぶポイントを抑えておく必要があります。

利用可能な機能

MAツールは上記のようなさまざまな機能を持っていますが、ツールによって強化されているポイントは異なります。そこで、自社の目的を実現できる機能を備えていることが大切です。見込み顧客の育成機能が強化されたツールや、新規リードの獲得に特化したツールなど、MAツールは自社の解決を目指す課題目的に見合ったものでなければなりません。

社内担当者が使いこなせるか

MAツールは社内のリソースやWebマーケティングの知識レベル以上に多機能である必要はありません。特にMAツールはマーケティング先進国でもあるアメリカのマーケティング活動に利用されていたものも多く、こうしたツールは現状導入実績の少ない日本企業ではオーバースペックとなる可能性もあります。

このためMAツールは導入後に社内担当者がきちんと運用できるスキルを持っているかが重要です。十分な運用スキルがないにもかかわらずMAツールを導入しても、費用対効果の低下を招いてしまいます。

サポート体制はどうか

MAツールの導入ではサポート体制の充実度も重要な要素です。特に企業の新たな試みとしてMAツールの導入する場合や、社内にノウハウが不足している場合にはツールのベンダーやコンサルティング会社からのサポートは欠かせません。

MAツールが使いこなせずかえって社内リソースや時間が消費されるようでは、マーケティング活動の効率化を目的としたMAツールの導入は無意味になってしまいます。

クラウドかオンプレミスか

MAツールにはインターネット経由で利用するクラウド型と自社サーバを設置してシステムを構築するオンプレミス型があります。企業によって運用方法が異なるため、どちらに優位性があるのかは一概にいえません。

クラウド型は登録すればすぐさま始められ、さらに初期費用も抑えられるというメリットがあります。オンプレミス型は、多少専門的な知識が必要ですが、セキュリティー性が高くカスタマイズ性にも優れています。

クラウド型とオンプレミス型を選択する際には、これらの特徴を踏まえ、自社の課題や人的リソースを考慮しながら決定するとよいでしょう。

MAツールについてのまとめ

・MAツールは従来人の手によって行っていた定型的な業務や、膨大な時間とコストのかかる大量の作業や複雑な処理を自動化や効率化するものです。

・MAツールを導入するメリットとしては業務の効率化、キャンペーン効果のアップ、マーケティングの可視化と最適化などが挙げられます。

・MAツールの主な機能はリード管理、スコアリング、メールマーケティング、ランディングページ作成、WEB行動解析、ソーシャルマーケティング、顧客管理システム連携などです。

・MAツールを導入する際には利用できる機能、社内担当者が使いこなせるか、サポート体制はどうか、クラウドかオンプレミスかといった点がポイントとなります。