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ナレッジマネジメントとは?広がる背景とメリット、成功のポイント

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この記事ではナレッジマネジメントについて、その背景と運用成功のポイントを解説します。
企業が成長するためには様々要素が必要になりますが、社員一人ひとりのスキルや業務で得た知識はそのまま成果に繋がる財産です。
一昔の企業は、特別なスキルを持つ従業員や営業職などが新しい社員にそのスキルを継承させることでつなげてきました。
現代では情勢の変化や働く人の意識改革により、その流れにも変化が訪れています。
その中でナレッジマネジメントを運用・活用することは経営を向上させ・企業の財産を守る手段です。
ここでは、そのために必要なナレッジマネジメントの基礎知識やメリット、おすすめのITツールを紹介します。

ナレッジマネジメントの基礎知識

さまざまな変化が起こる情勢の中で企業全体や組織内の力を強固にするには、社内のあらゆる情報を可視化し、社員全員がそれらに対応できる状況にしておくことが重要です。また個人の働き方自体に変化が起こっている昨今では、ナレッジマネジメントが不可欠要素になっています。

ここでは、ナレッジマネジメントの基礎知識にともない、なぜ今ナレッジマネジメントが求められているのか、その背景を紹介していきます。

ナレッジマネジメントとは?

ナレッジマネジメントとは、社員たちが業務で得た知識やノウハウを表出・共有・蓄積し、社内で活用できるようにするための管理手法のことです。一橋大学大学院の野中郁次郎教授らが提唱した「SECI(セキ)モデル」もナレッジマネジメントの枠組みです。

組織においての情報共有するための仕組みとして、知識や業務で得た知見「暗黙知」を、誰が見ても応用できる「形式知」に変えることで知識創造・活用していきます。
例えば、成績の良いベテラン営業職が得たスキルは言語や数値、内面化して図表には現れていませんが(暗黙知)、それをマニュアル化する(形式知)などして誰が見てもそのスキルを取り入れることができるようにするということです。
このような形で共有された知識を全ての社員で共有・連結化することで生産性向上や業務効率化を実現し、企業の競争優位性を高めるというのが目的になります。
また、ナレッジマネジメントは暗黙知と形式知が互いに作用し合うことでさらに質が高いものになっていきます。
暗黙知を形式知に変え共有することで、社員のスキルレベルが上がりその暗黙知をさらに質が高い形式知になり、それをナレッジマネジメントに活かすことでさらに社員のスキルアップにつながります。

ナレッジマネジメントが求められる背景

ナレッジマネジメントが提唱され、企業に浸透し始めたのは1990年代ですが、昨今では様々な情勢や”働き方の変化”も加わりさらに求められる背景があります。
終身雇用が当たり前だった時代では、自然とベテランから新人社員にノウハウが継承されていくのでナレッジマネジメントの概念があまり必要ありませんでした。しかし、転職など働く人の価値観が変化していることなど意識が多様化している現代では、ベテラン社員のスキルや経験を自然継承するのが難しい状況です。

また、テレワークなどで勤務の形態にも変化が現れているので、さらにスキルや経験の継承ができないという状態になっています。ほかに知識やスキルなど無形の財産を持つ人ほど、条件の良い職場に移動するや独立することもあるため、それだけで企業にとってはリスクでありマイナスです。

これらを踏まえて企業のレベル維持や向上を人的に頼らず、社員それぞれのレベルを画一化するということが、ナレッジマネジメントを企業が求めている背景にあります。

時代が進みIT化が進んだことによる環境変化や、顧客のニーズの多様化に対応するため、迅速な意思決定が必要になったというのも大きな要因の一つです。想像以上に技術進歩や顧客ニーズの変化のスピードが速いため、瞬時に変化に対応できる仕組みが必要とされています。

また、情勢により今後もさらに進んでいくテレワークなどで、質の高い情報やスキルの共有が求められているという背景も大きいでしょう。ナレッジマネジメントで知識やスキルを共有するためにITツールや情報共有システムを構築する企業が増えているのはこのような背景があります。

ナレッジマネジメントを取り入れるメリット

企業が有する従業員の知識やスキルは、いわば無形の財産です。それをさらに成長させ、守るためにはナレッジマネジメントが効果的といえます。
ここでは企業がナレッジマネジメントを取り入れる主なメリットを紹介していきます。

知識の属人化を防げる

ナレッジマネジメントを取り入れると、他の担当者であっても仕事ができるように知識やノウハウをマニュアル化しておけば、属人化を防ぐことができます。
たとえば、特定の従業員がいないと作業が進まないといった業務がなくなり、それだけで作業の効率化が図れます。

組織のなかでそのような社員がいる場合は、その人材が従事している時は業務が進んでいきますが、急な病気や退職などの場合はそれだけで大きく効率がダウンしてしまうリスクが高くなります。

ナレッジマネジメントは、知識や経験を従業員同士が共有することでスキルの差をなくし、誰が対応しても仕事のクオリティを平準化できます。

業務を効率化できる

ナレッジマネジメントはリスク回避による社員スキルの平準化ばかりではなく、普段の作業効率やスキルレベルの平準化に対応できるので、業務効率化が実現可能です。

ナレッジマネジメントが浸透していない時代は、スキルはベテランから新しい従業員へと継承されていきましたが、体得するためには一から知識や技術を試行錯誤する必要がありました。しかし、ベテラン従業員の顧客対応方法や作業方法などをマニュアル化し共有することで、その必要がなくなり、不明点があればその都度マニュアルを参照することで解消できます。

従業員を短期間で育成できる

ナレッジマネジメントは、ベテラン従業員の知識やスキルなどの暗黙知を誰でも扱える形式知にするため新しい従業員が短期間で仕事に慣れやすいというメリットがあります。

そのため教育や育成にかけるリスクやコストを大幅に削減可能です。昨今では社内の人間関係においてもリスクになることがありますが、そのようなこともリスクを少なくすることも可能になります。

ナレッジマネジメントの導入を成功させるポイント

今後もさらに必要性が高まるのがナレッジマネジメントです。しかし、単に導入・運用するだけでは成果は見込めず、業務がかえって非効率になることあるので特に導入時には注意が必要になります。
ナレッジマネジメント運用には、その仕組みづくりやツールの導入など多くの業務が予め必要になりますが、成功のためにはポイントを押さえた導入が大切です。
ここではナレッジマネジメントの導入させるポイントを紹介します。

共有すべき知識の範囲を明確化する

ナレッジマネジメントの導入時には共有すべき知識の範囲を明確化しその目的をしっかりと定めておく必要があります。対象となる情報が明確化されていれば、それだけ従業員が共有しやすくなりナレッジマネジメントを活用して業務を行う比率が増えるからです。

共有された形式知を活用し業務を行うことで得たスキルの暗黙知は、さらに形式知に変換され新しい人材が活用していきます。全ての知識を共有しようとすると、そのこと自体が非効率になるので得策といえません。管理する側も時間がかかってしまうというデメリットがあります。


具体的な例をあげると営業部門が共有する知識やスキルと製造部門が共有する知識やスキルには違いがあります。会社全体で共有する情報、部署で共有する情報等、知識の範囲を予め明確化してから導入することが大切なポイントです。

従業員の意識を変革し、共有したくなる仕組みを作る

ナレッジマネジメントは、特定の暗黙知を持っている従業員にとっては業務が増えてしまい不満を感じてしまいます。また、その重要度を理解できない場合には仕組み自体が上手く機能しないということも考えられます。

これらを解消するためには従業員の意識を変革させ、知識やスキルを共有することで、自身のメリットになるという仕組みを作ることが必要です。共有を行った場合に何らかのプラス評価を与え積極的にナレッジマネジメントを活用するようにすることが大切になります。

どの部門でも従事している従業員が前向きに協力できるように、個人のメリットが会社全体の成果につながるイメージを持ってもらうことが大切です。

ツールを導入する

ナレッジマネジメントの運用にはITツールの導入がスムーズです。多くのナレッジマネジメントツールは、共有プロセスが簡単にできるように最適化されています。前記しましたが、情報を共有すること自体に不満を感じてしまいナレッジマネジメントが機能しなければ正しく運用できません。知識やスキルを持ち共有する側が、できるだけ作業時間が増えることがないような配慮も必要になります。

その点多くのナレッジマネジメントツールは、わかりやすいUIや体感的に操作を行えるように設計されているのでストレスも少なく済み協力してくれやすくなります。

またITを活用したデジタルツールでは、情報を収集することやそれを共有するための仕組みが予めできているので管理も負担が少なくて済みます。ナレッジマネジメントのITツールはさまざまなものがリリースされているので、機能など自社の運用に合ったツールの選定がポイントです。

ナレッジマネジメントの導入におすすめツール9選

ナレッジマネジメントを効果的に運用するには、その仕組みをシステム化することが必要です。
そのためにデジタル化するのが最も効率化できますが、一から開発するよりもリリースされているツールを活用するのが得策になります。
様々なツールにはそれぞれで機能の違いや特徴があるので自社の運用に最も合うものを導入するのが大切です。
ここではナレッジマネジメントの導入におすすめのツールを特徴を交えながら紹介します。

flouu(フロー)/プライズ株式会社

flouuは、社内のリアルタイム情報共有ツールです。ナレッジマネジメントに必要な機能の他にも「作業の効率化」「コミュニケーションの効率化」にも十分な機能が使えます。

「Slack」「Chatwork」「Googleドキュメント・スプレッドシート・スライド」等、他ツールとの連携機能もあり必要な情報を一つのUIで共有できるのが特徴です。価格は月額1ユーザーあたり550円で、その他セキュリティや導入支援サービスで料金が加算される仕組みです。無料プランがあるので機能を試してからの導入も可能です。

Qast(キャスト)/any株式会社

Qastは、シンプルさを追求したUIに定評があるナレッジマネジメントツールです。導入時にあたって研修等に時間をかけず、誰でも体感的に利用できるよう設計されているのが特徴です。

スキルを共有するための投稿や反応などをスコアによって付与できるので、ナレッジマネジメントへの評価や従業員のモチベーションに活用できます。
価格は機能やセキュリティ、導入サポートによってプラン分けされており1ユーザーあたり料金が加算されていく仕組みです。無料プランがあるので機能をためしてからの導入も可能になっています。

NotePM(ノートピーエム)/株式会社プロジェクト・モード

NotePMは、情報を社内版ウィキぺディアのような感覚で利用できるナレッジマネジメントツールです。

変更履歴の自動記録やアクセス履歴など管理画面も扱いやすいのが特徴です。API対応も柔軟なので他ツール・システムにも連携可能になっています。価格はユーザー数によってプラン分けされています。無料プランも用意されているので、試してからの導入も可能です。

kintone(キントーン)/サイボーズ株式会社

kintoneは、細かなカスタマイズで業務や部署間・企業間の情報共有に対応できるナレッジマネジメントツールです。

共有する必要な業務間システムを必要な分だけ追加でき、必要な情報だけを共有できるので、細かなナレッジマネジメント運用ができます。アプリを使ったモバイルデバイスとの連携にも対応しているので柔軟な運用が可能です。価格は機能等により2つのプランが用意されており、1ユーザーあたり月額780円からになっています。

Knowledge Bot(ナレッジボット)/SBテクノロジー株式会社

Knowledge Botは、質問・回答を社内情報として共有できるチャットボットソリューションツールです。

「SharePoint Online」「Microsoft Teams」等Office 365と連携させ利用することも可能になっています。運用フェーズにあわせた様々なオプションが用意されており、ナレッジマネジメントによる業務の効率化を手軽に実現できるのが特徴です。価格は非公開のため問い合わせが必要です。

Beat Shuffle(ビートシャッフル/株式会社 Beat Communication

Beat Shuffleは社内SNS、ビジネスチャットツールです。蓄積されたデータをナレッジマネジメントに活用することで効率的な業務体系を実現できます。

普段使っているSNSやコミュニケーションツールと同じUI・操作性なので導入後すぐに運用開始できるのが特徴です。クラウド型とオンプレミス型、どちらでも運用できます。価格は機能やデータ伝送量によりプラン分けされている仕組みです。無料プランがあるので機能を試してからの導入も可能です。

knowbuild(ノービル/グルー株式会社 )

店舗スタッフの教育に完全特化した映像配信プラットフォームです。

基本的な接客から調理技術、衛生管理まで。店舗運営に必要なナレッジを映像プラットフォームとして配信し、質の高い教育研修が実現できるツールです。

toaster team(トースターチーム/noco株式会社 )

toaster teamはスタッフや社員の間で生まる情報格差を解消するマニュアル&ナレッジ管理アプリです。

属人的になりがちな業務ナレッジを、見える化・仕組み化し、チームとしてのパフォーマンスを底あげすることができます。入り立てのスタッフを短期間で即戦力化し、組織の業務効率化と生産性向上を実現します。

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