ビジネスメディアのミツカル法人が納めるべき税金とは?税務の基本的な実務を経理担当者向けに解説
#経理・会計
株式会社をはじめとする企業、すなわち法人は国や地方に税金を納めなければなりません。
事業所得に応じて計算される法人税が代表例ですが、その他にも企業は納税の義務があります。
法人が納めるべき税金には、以下の種類が挙げられます。
・法人税(法人所得税)
・消費税
・地方法人税
・法人住民税
・法人事業税
・固定資産税
税金には「国税」と「地方税」の2種類があります。
国税と地方税の区別は納める先によって異なります。国税は国に治める税金ですが、地方税は地方自治体に納める税金です。
国税は税務署が管轄しており、地方税は各自治体で管理しています。
国税 | 地方税 |
・法人税(法人所得税) ・地方法人税 ・所得税 ・消費税 | ・住民税 ・事業税 ・地方消費税 ・固定資産税 |
参考:国税・地方税の税目・内訳|財務省
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/a01.htm
法人税とは、法人が得た課税所得に対して課される税金です。
法人税の金額は、主に以下の計算式で算出します。
<法人税の計算式>
法人税=課税所得×法人税率―控除
法人税の計算に必要な課税所得や控除額を計算するのが税務担当者の役割です。
消費税は商品やサービスの消費に課せられる税金です。
消費税は国民の消費によって間接的に負担されますが、直接税金を納めるのは事業者の役割です。
事業者は消費者である顧客から一旦預かった消費税の中から企業が納めるべき消費税額を計算し、国や地方に納めます。
消費税の計算式は原則として以下の方式で計算されます。
<消費税の計算式>
消費税の納付税額=課税期間中の課税売上げに係る消費税額―課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額
消費税は税率ごとに計算する必要があるなど、取引の実態に即した処理が必要です。
なお、消費税は国に納める「消費税」と地方に納める「地方法人税」に分けられます。
企業は期中または決算期において税金を適切に計算する必要があります。
税金を支払う際には財務諸表上においても影響があるため、決算期には税金の計算を適切に財務諸表に反映させなければなりません。
税金を支払う際あるいは計算する際の会計処理について、使用する勘定科目に注目しながら確認していきましょう。
法人税等を支払う際は期中に中間申告をして納める中間納付と、期末に確定申告をして納める確定納付の2種類があります。
仮に、中間納付で300,000円を支払った場合は以下の仕訳となります。
借方 | 貸方 |
仮払法人税等 300,000 | 当座預金 300,000 |
期末に確定申告を行った場合、仮に1年間の法人税等が800,000円であった場合は以下の仕訳となります。
借方 | 貸方 |
法人税等 800,000 | 仮払法人税等 300,000 未払法人税等 500,000 |
このとき、1年間の法人税等の金額800,000円と期中に納めた300,000円との差額である500,000円は翌期に支払うこととなります。
決算のタイミングではキャッシュアウトはないため、未払法人税等とするのが一般的です。
未払法人税等は翌期に法人税の支払いをする際に精算します。
借方 | 貸方 |
未払法人税等 500,000 | 当座預金 500,000 |
消費税の納付には「税込方式」と「税抜方式」の2種類があります。
税込方式とは、消費税を含んだ金額で売上と仕入の会計処理を行う方式です。
以下の例では、売上50,000円、仕入20,000円の場合における税込方式の会計処理です(消費税率10%)。
このとき、仕入に係る2,000円は租税公課として処理します。
税込方式は簡便的な方法で計算が容易である一方、消費税の金額を売上や仕入に含めるため、期中損益の測定が不正確という特徴があります。
借方 | 貸方 |
売掛金 55,000 仕入 22,000 | 売上 55,000 買掛金 22,000 |
租税公課 2,000 | 未払消費税等 2,000 |
税抜方式とは、消費税を含まない金額で売上と仕入の会計処理を行う方式です。
以下は売上50,000円、仕入20,000円、消費税率10%、消費税の納付額が2,500円であった場合の仕訳例です。
このとき、仮受消費税等との差額500円は雑収入として処理します。
借方 | 貸方 |
売掛金 55,000 | 売上 50,000 仮受消費税等 5,000 |
仕入 20,000 仮払消費税等 2,000 | 買掛金 22,000 |
仮受消費税等 5,000 | 仮払消費税等 2,000 未払消費税等 2,500 雑収入 500 |
企業が支払うべき税金を安くするためにはどうすればいいでしょうか?
法人税は所得に応じて計算される税金ですから、所得の計算を少しでも低くするように投資・消費を行うことが有効です。
その他にも、控除制度などの税金計算をする際に有利になる制度を活用することで税金を抑えられます。
所得税の元となる課税所得は「益金―損金」というように計算されます。
益金とは売上など企業の資産を増加させる取引、損金とは仕入など企業の資産を減少させる取引です。
すなわち、損金の額が大きいほど課税所得の額が小さくなり、支払う税金が少なります。
積極的な投資や消費を行うことで、支払うべき法人税の金額が少なくなるのです。
赤字の期間がある法人の場合、欠損金繰越控除を利用すれば節税対策になります。
欠損金繰越控除とは、過年度の欠損金(赤字の金額)を当期の所得に含めていいという制度です。
例えば、過年度に繰越欠損金の額が50万円で該当する事業年度の繰越欠損金控除前の所得金額が200万円というケースを考えてみましょう。この場合、該当年の所得200万円のうち50万円が所得から控除され、その事業年度の所得金額は150となります。
確定申告書を提出する法人の各事業年度開始の日前10年(注)以内に開始した事業年度で青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額は、各事業年度の所得金額の計算上損金の額に算入されます。
(注) 平成30年4月1日前に開始した事業年度において生じた欠損金額の繰越期間は9年です。
参考:青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5762.htm
中小企業向けの軽減税率を適用することで、法人税の計算が有利になります。
中小企業向けの軽減税率とは、通常23%の法人税率について中小企業に限って年800万円以下の所得金額が19%に軽減されるというものです。
中小企業の定義は「資本金1億円以下の法人」です。軽減税率を適用するために資本金が1億円を超えないようにする、という選択も考慮に入れましょう。
法人は法人税をはじめとして、数種類の税金を支払う義務があります。
経理担当者は税務担当者に限らず、企業会計が税金計算に与える影響を考えなければなりません。
税金の計算を有利にするためには、積極的な投資や消費活動をするほか、欠損金繰越控除などの控除制度を活用するといいでしょう。
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岩橋慧(いわはし さとる)慶應義塾大学商学部卒業後、一部上場企業の経理部門に従事。決算管理、残高管理などを担当する。フリーライターに転身後、経理実務経験や会計知識を活かしたSEOライティングに従事。主にオウンドメディアの記事制作に携わる。
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