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「監査役」専任のポイントとは?役割とモデルケースも紹介

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監査役は株式会社において業務や財務状況を監査するという重要な役割を持ちます。この記事では、監査役の役割や監査役選任のポイントを解説していきます。また、監査役を設置する際のルールや、監査役設置会社のモデルケースについても確認していきましょう。

監査役の役割とは?なぜ必要か?

監査役とは株式会社における機関の1つです。

監査役は株主総会によって専任されます。監査役の役割は取締役の職務の執行を監査すること、監査報告を作成することです。

監査役の存在は業務執行や財務状況について透明性を確保する重要な存在です。

監査役の役割と権限

取締役を第三者の目線で監視し、株主に適切な監査報告を行うのが監査役の役割です。

会計監査と業務監査に分類されます。業務監査とは適法性監査とも呼ばれ、取締役の職務が法令や定款を遵守しているかを監査します。

監査役にはこれらの業務を遂行するため、以下の権限が与えられています。

・取締役の業務執行に対する監査
・取締役に対する事業報告要求および財産状況調査
・取締役の違法行為の阻止
・会社および取締役間の訴訟代表権
・会計監査

監査役はなぜ必要?

監査役は株主や債権者などステークホルダー(利害会計者)の利益を守るために監査を行います。

監査役を設置することで、株主や金融機関にコンプライアンス意識の高い会社という意識を与えられるでしょう。

監査役は原則4年の任期ですが、定款を変更することで任期を変更できます。

監査役を置く条件

大会社(資本金が5億円以上もしくは負債の合計額が200億円以上)や公開会社では設置が義務付けられています(会社法第327条)。

非公開会社(株式譲渡制限会社)では任意設置となっており、必ずしも監査役を置く義務はありません。

監査役の欠格事項

監査役には欠格事項、つまり監査役になれない条件があります。

監査役の欠格事項として、以下の例が挙げられます。法人や成人被後見人、法律によって罰せられている人が対象です。

・法人
・成人後見人
・会社法または金融商品取引法等によって罰せられて2年を経過していない者

また、監査役には兼任の禁止規定があります。

監査役は取締役・使用人または子会社の取締役・会計参与・執行役・使用人を兼任することができません(会社法第335条)。

監査役設置会社のモデルケース

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会社法において、株式会社では必ず設置しなければならない機関が定められています。

例えば、全ての株式会社において「株主総会」と「取締役」の設置が義務付けられています。

以下は、会社法で定められている機関の一例です。

・株主総会
・取締役
・監査役
・会計参与

監査役設置会社ではどのような機関を設置すればいいでしょうか?

大会社の場合、中小企業や非公開会社の場合に分けてモデルケースを確認してみましょう。

大会社の場合

監査役は大会社や公開会社では必須が義務付けられています。また、大会社の場合は会計監査人という機関を設置しなければなりません。

以下は、大会社の場合における設置機関のモデルケースです。

・株主総会
・取締役会
・監査役
・監査役会
・会計監査人

中小企業や非公開会社の場合

中小企業や非公開会社では監査役の設置を省略可能です。

最もシンプルな形態の場合、以下のようなシンプルな機関となります。

・株主総会
・取締役

ただし、非公開の大会社は会計監査人の設置が義務付けられています。

監査役の設置が義務付けられていない場合でも、任意で監査役を設置できます。

監査役を任せるにはどのような人がむいているか?

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監査役を専任するためには、監査を行ううえで専門知識や経験を有した人材を選ぶ必要があります。

具体的には、会計監査を行うために会計・税務の専門家、業務監査を行うために法律の専門家が監査役の人材として適しています。

・会計・税務の専門家(公認会計士や税理士)
・法律の専門家(弁護士)
・内部監査の経験者

公認会計士や税理士

会計監査を行ううえでは、高度な専門知識を有した人材が適しています。

公認会計士や税理士といった会計・税務の専門家が適任です。

特に、公認会計士は企業会計の監査ができる独占資格であり、会計監査において重要な役割を担います。

弁護士

業務監査を行ううえで、法律に則った業務が行われているかどうかを監査する必要があります。

法律の専門家である弁護士が監査することで、企業がしっかりと法令を遵守しているかをチェックできるのです。

コンプライアンスを重視するうえで、弁護士による業務監査は企業の信用を高める要因にもなるでしょう。

内部監査の経験者

国家資格を有した人材以外にも、豊富な経験を有した人材も監査役に適しています。

内部監査を経験している人材は監査役としても経験を活かせます。内部監査は会社の機関ではありませんが、監査役に近い役割を担う役割です。

また、金融業界の経験者は会計に関する知識が豊富であり、監査役で力を発揮できるでしょう。

監査役専任のポイント

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監査役を専任するうえでは所定の手続きを踏む必要があります。

また、監査役会を設置するうえでは社外監査役の設置が義務付けられています。

監査役専任の手続きや注意点などを見ていきましょう。

監査役選任の手続き

監査役専任は株主総会の手続きと監査役・監査役会の承認が必要です。

監査役が複数名いる場合は、過半数からの同意を得られなければ新たな監査役は設置できません。

監査役を設置するためには、株主総会へ監査役選任の議案を提出する必要があります。そのため、事前に新たな監査役専任の同意を監査役から得られるように手配しなければなりません。

社外監査役の採用

社外監査役とは、会社から独立した立場で監査を実行するための制度です。

監査役会設置会社においては、監査役は3人以上かつ半数以上は社外監査役である必要があります(会社法335条3項)。

監査役が正しく機能しているかを評価する方法

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監査役会を設置することで、監査役が正しく機能しているかをチェックできます。

監査役会とは、会社の経営および業務執行を監査する機関です(会社法第2条10号、第390条)。

監査役会は通常の監査役としての権限を有しているほか、常勤の監査役の専任および解任ができます。

監査役会を設置することで監査の実効性が上がり、社会的な信用も増します。

まとめ

監査役の役割や必要性、監査役専任のポイントについて紹介しました。

監査役は会社の業務や財務について透明性を確保する役割を持ちます。

監査役を専任するためには、弁護士や公認会計士などの専門家、金融業界の経験者などが適任です。

執筆者プロフィール

岩橋慧(いわはし さとる)

慶應義塾大学商学部卒業後、一部上場企業の経理部門に従事。決算管理、残高管理などを担当する。フリーライターとして独立後、経理経験や会計知識を活かしたSEOライティングに従事。主にオウンドメディアの記事制作に携わる。

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