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ABMとは?重視される背景とメリット、実施時の流れ、おすすめツール

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この記事では「ABM」について解説します。ABM(Account Based Marketing:アカウントベースドマーケティング)は近年BtoB領域で注目を集めるマーケティング手法です。BtoBは商材の単価が高く、購入や契約の意思決定に長い時間を要するために、日本では対面営業が主流です。しかしながらコロナ禍の影響によりWebマーケティングやインサイドセールスへのシフトが避けられない状況となっています。そこでこの記事ではBtoBビジネスと親和性が高いABMの基礎知識からメリットデメリット、実施する流れになどついて詳細に解説するとともに、ABM導入におすすめのツールを紹介していきます。

ABMの基礎知識

BtoBマーケティングの新たなアプローチ戦略として注目を集めるABM。ここではまず最初にABMの導入や実施に不可欠な基礎知識から徹底解説していきます。

ABMとは

ABMとは英語の「Account Based Marketing(アカウントベースドマーケティング)」の略語で、ターゲット顧客のセグメントを細分化せずに企業・組織単位でアプローチする戦略的マーケティング手法を意味します。

英語の「Account」にはさまざまな意味がありますが、ABMでは「顧客セグメントの最も大きなカテゴリ」のこと。リード(見込み顧客)のセグメントを個人ではなく、売上に対する寄与率が高い企業のアカウントをターゲティング・特定して明確なアプローチを行います。

ABMが重視される背景

ABMが重視されるようになった背景、そして理由には、インターネットの世界的な普及と、市場におけるMAツールの発展があります。

Webマーケティングで成功をおさめるにはユーザーに魅力的なコンテンツを提供してリードを育成し、ニーズが顕在化したら迅速にアプローチして商談につなげることが重要です。しかしながら、それには膨大な顧客情報データを短時間で収集分析し、選別しなければなりません。

そこでMA(Marketing Automation)ツールを導入して、定型業務やリードのデータ収集解析を自動化したり、属人化しやすい営業プロセスやノウハウを一元管理で可視化したりすることで業務の効率化とスピードアップを実現します。

また収集解析したデータを元に顧客のセグメンテーションを行い、個々の属性に最適化したマーケティング活動を行うことも可能。ABMでは顧客アカウントをひとつのセグメントと見なすことでマーケティング施策と営業効率を向上していきます。

ABMの効果が出やすいケース

ABMはBtoB事業との親和性が高いマーケティング戦略です。一般的なBtoC業種では個人消費者がターゲットですが、BtoBでは企業の顧客がメイン。取引額も大きく、購買の意思決定も個人レベルではなく部署単位で検討される場合がほとんどです。

また事業規模が大きい企業は事業所が複数存在するため、顧客のセグメントを個人単位で設定すると、役割や優先順位が明確化しづらくマーケティング活動に漏れや重複が発生しがちです。そこでABMで対象を企業単位に絞り込むことで効率的な運用が可能になります。

特にBtoBの場合は購買単価が大きく、「LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)」が個人顧客よりも高くなります。その意味でABMはBtoB領域におけるLTVの向上にも有効な手法といえるでしょう。

またABMは企業単位でアプローチするため、対象が新規顧客でも既存顧客の事例を活用することが可能です。たとえば自社の新製品を新規顧客や既存顧客の他部署にアプローチする際に、既存顧客の取引データを元に安定的なマーケティング効果を実現できます。

ABMのメリット・デメリット

ABMを実際に導入する場合、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。この項ではその点について具体的に考察していきます。

メリット

ABMの特徴であり最大のメリットはマーケティングと営業各部門の人的リソースを有効に活用できること。ABMでターゲット顧客のセグメントを絞り込むことで、限られたリソースを有望なアカウントに集中させることが可能です。

またABMを効果的に実践できれば、ROI(Return On Investment:費用対効果)が向上し、収益性が高まります。しかもABMの効果測定は顧客企業のデータのみ。解析指標が少ないためマーケティング施策の最適化や改善策も導きやすくなります。

もうひとつのメリットはマーケティング部門と営業部門の連携・コミュニケーションがスムーズになること。一般的なマーケティング業務の目的は、1人でも多くのリードを獲得すること。一方、営業部門の目的は売上目標の達成です。

双方の部門は「利益確保」という同じ目標を掲げながらも「マーケターが苦労してリードを獲得しても営業がアプローチしない」「マーケティングのリードは玉石混淆で営業の効率化に寄与しない」などと互いに対立しやすい傾向にあります。

そこでABMを導入すると、マーケターはリードの獲得数に固執する必要がなくなり、営業と連携してターゲット顧客を選定できます。営業もまたターゲットを絞って効率よく業務に集中することができます。

デメリット

ABMのデメリットは、運用開始から目標達成までにある程度の時間を要すること。それ自体は他の施策にも当てはまりますが、ABMの場合、マーケティング部門は新規リードの獲得という目標を失い、営業は個人の裁量で受注を競うことが難しくなります。

そのためABMに移行して成果の創出に遅れを取ると、マーケティング部門と営業部門双方のモチベーションが低下したり、軋轢が生じたりする場合があります。

ABMを実施する流れ

ここではABMを実施する流れと手順を5つのSTEPに分けて具体的に解説していきます。

STEP1:対象企業(アカウント)の設定

ABMではターゲット顧客を企業に絞り込んで集中的にアプローチします。そこで実施する流れのSTEP1として、ターゲットとなるアカウント企業を設定します。

アカウントの選定条件は、現時点での売上寄与率をはじめ、将来的な成長性やリピーター顧客に昇華する可能性などを多角的に考慮して判断することが重要です。

STEP2:コンタクトポイントの整備・創出

ターゲットが決まったら、次はコンタクトポイントを整備・創出します。コンタクトポイントとは、ターゲット企業の担当者との接点のこと。すでに名刺を交わしていれば、その接点を整備強化し、面識がなければコンタクトポイントの創出を図ります。

WebマーケティングではWebサイトやSNS、メールなどを利用して情報を発信したり、キャンペーンやオンラインセミナーを開催するなどの手法によってタイミング良くコンタクトポイントを創出するのが一般的です。

STEP3:アカウントへアプローチ

コンタクトポイントが創出できたら、次はターゲットアカウントにアプローチしましょう。企業の意思決定プロセスは、上は株主総会や取締役会の決議から、下は担当者や使用者の権限による決済までさまざまなケースが想定されます。

ABMでは顧客企業の命令系統や内部規定などを考慮して、意思決定者と決裁者に多様な方法でアプローチして関係を深めていくことが重要です。アプローチを継続する中で自社製品やサービスの導入を提案して商談の成立をめざしましょう。

STEP4:アカウントのステータス把握

ステータスとは「見込み度=商談が成立する可能性」のこと。具体的には、顧客の購買プロセスの進展にあわせて「潜在的なニーズの有無」「ニーズの顕在化」「アポや商談を獲得できる見込み」のようにステップアップしていくフェーズを意味します。

ターゲット企業がどのような課題に直面し、それを解決するためにどの検討段階(ステータス)へ遷移したかを常に把握して、それぞれのステータスごとに最適なアプローチを行うことで商談成立を図ります。

STEP5:マーケティング効果の検証

商談成立後はABMマーケティング効果の評価と検証を行いましょう。最初に策定した施策と戦略は適切だったか、顧客のステータスは正確に把握できていたか、目標は達成できたか、などのポイントを検証することでPDCAを回してABMの効果を高めます。

ABMに便利なツールの主な種類

ABMはマーケティングと営業のターゲット顧客を個人ではなく企業(アカウント)単位で選定する手法です。アカウントの選定にあたってはさまざまなツールを利用します。そこでここではABM導入に役立つ3つのツールを紹介します。

MAツール

MAは英語の「Marketing Automation(マーケティングオートメーション)」の略語で、マーケティング活動の事務処理作業を自動化すること。それを実現するためのソフトウェアをMAツールといいます。

具体的には、Webマーケティングにともなう顧客データの収集と管理・分析、メルマガ配信などの定型的なマーケティング業務、リードの創出や育成に要する煩雑な事務処理作業などを自動化して業務効率を向上できるツールです。

CRMツール

CRMとは英語の「Customer Relationship Management」の略語で、日本語では「顧客関係管理」と訳されます。CRMツールは顧客のさまざまな情報を集約して一元的に管理することで、顧客との良好な関係の構築を支援します。

SFAツール

SFAは「Sales Force Automation」の略語で、日本語で「営業支援システム」のこと。SFAツールは見込み顧客の発掘から契約獲得にいたるまでの業務を自動化して営業活動の効率性と収益性の向上を実現します。

CRMとSFAは機能や目的に共通する部分もありますが、CRMはマーケティング部門の効率化とカスタマーエクスペリエンスの向上を実現するためのツール。SFAは営業部門の業務管理を効率化するためのツール、という違いがあります。

ABMにおすすめのツール6選

最後にABMの導入に役立つMAツール6選を紹介します。

EC Intelligence(イーシーインテリジェンス)/株式会社シナブル

「EC Intelligence」は株式会社シナブルが300以上のサイト構築に携わった知見をもとに開発したECサイト専門のMA/CRMツールです。ECサイトの売上向上に不可欠な機能を実装し、顧客データを自動で収集分析して最適な施策を実行します。

実行した施策の結果はレポート画面にわかりやすく表示。シナリオの改善も簡単です。料金は月額10万円から。初期費用は20~60万円となっています。

MOTENASU(モテナス)/株式会社FID

「MOTENASU」は株式会社FIDが提供するCRM/MAツールです。サイト来訪者の情報を分析してニーズにマッチした情報を最適なチャネルで提供します。デジタル領域のオンライン媒体はもちろん旧媒体によるDM展開も可能です。

SQLやマーケティングの専門知識がなくてもシナリオ設定が可能。常に最適な方法でリードにアプローチしてニーズを把握。営業にトスします。料金は初期費用30万円。月額費用は10~200万円となっています。

Kairos3(カイロス3)/カイロスマーケティング株式会社

「Kairos3」はカイロスマーケティング株式会社が提供するクラウド型のMA/SFAツールです。顧客管理やメール配信、シナリオ作成、スコアリング、SFAなどマーケティングと営業の活動に必要な機能をワンパッケージで提供します。

料金は初期費用が10,000円、月額費用が15,000円から。オプション機能をチョイスすればよりハイレベルな運用も可能です。

Ecrea(エクレア)/株式会社エクレアラボ

「Ecrea」は株式会社エクレアラボが提供するコーディネート型のSFAツールです。営業支援システムに求められる機能を6つに分類。クラウドサービスとオンプレミス版も選択できるので自社の課題解決に必要な機能を効率的にコーディネートできます。

価格体系はクラウドサービスとオンプレミス版とも「Ecreaベース」に「営業活動記録機能」「案件管理機能」「利用製品管理」「要望・クレーム管理」「一斉メール配信機能」の5つのライセンスを選択して加算します。

Senses(センシーズ)/株式会社マツリカ

「Senses」は株式会社マツリカが提供するセールス・マーケティングプラットフォームです。営業案件の膨大な情報を自動で一元管理。個々のメンバーの活動状況も一目で把握できます。取引先に関する情報も自動取得して営業成果の最大化に寄与します。

料金プランは「Starter」「Growth」「Enterprise」の3タイプ。おすすめプランの「Growth」は月額10万円から。無料トライアルの利用も可能です。

C:Rize(シー:ライズ)/株式会社フルスピード

「C:Rize」は、株式会社フルスピードが提供するヘルスケア業界特化型のメールマーケティング支援サービスです。顧客の購買内容などのデータを簡易分析してKPIなどを設定。最適なメルマガ戦略を策定してLTVの向上を支援します。

メールマーケティングの実施後には効果測定を行い、KPIとの差異を分析してPDCAを回していきます。「C:Rize」の料金については個別に見積もりますので、直接お問い合わせください。

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