モバイルデバイスを通じてインターネットに接続する機会が増えた現在、生活者にとってスマートフォンアプリは欠かせない存在となっています。
マーケティングに関してもスマートフォンアプリを通じた活動の重要性が高まり、各企業において独自のアプリがリリースされることも少なくありません。
そこでこの記事では、アプリ開発の目的や開発方法のほか、開発を依頼する際の制作会社や自社で開発を行う場合に必要なツールなどをご紹介します。
アプリ開発の目的
企業がコストやリソースを割いてアプリを開発する場合、顧客のライフサイクルの中で接点を見出し、コミュニケーションを図ることが目的となります。現在ではモバイル端末によるインターネットアクセスがPCを上回るモバイルファーストがすでに定着し、モバイル端末のみを利用するモバイルオンリーの動きも珍しくありません。そこで、アプリによるプッシュ機能やカメラやGPSを使った機能の活用、アプリ内課金などを行えば、Webでは実現しにくいサービスを展開することができ、顧客のニーズに合わせて接触機会を増やすことができます。
また、特にスマートフォンは個人に紐づいているため、継続的にアプリが利用されれば、顧客の囲い込みに繋がり、顧客の志向分析をはじめ、会員サービスへの登録や、コンバージョンに結びつく効果も期待できます。
アプリの活用方法
アプリ開発を考えたとき、業種やジャンルによって活用方法は異なります。例えばECサイトを運営している企業では、ECアプリを開発することにより、顧客は自宅や会社、通勤中など場所を選ばず気軽にショッピングが可能になります。
一方、飲食店や販売店などの実店舗なら、事前の来店予約やキャンペーンやセールの情報を掲載することにより集客力を高めたり、クーポンの発行やポイントが付与によって顧客の囲い込みが期待できるでしょう。
また、ゲーム系のアプリであれば、アプリそのものを販売したりゲーム内でアイテムに課金するといった方法で直接的な収益を見込むことができます。
アプリの開発方法について
企業におけるアプリの開発の方法は、主にアプリ制作会社に依頼するか、自社開発するかのふた通りが考えられます。
このうちアプリ制作会社とはプログラミングなどの専門知識を持ったアプリ開発業者です。こうした専門業者への依頼では、アプリ開発の企画に関する仕様書の作成からプロジェクトの進行管理、プログラミングまでトータルで行うケースと、仕様書は自社で準備し、これに従ってコードの記述など部分的な作業だけを委託するケースがあります。いずれにしても、専門知識を持つプロに依頼することから、クオリティが高くスピード感を持った開発が可能です。ただし、アプリ自体の開発だけでなく、リリース後のメンテナンスやバグの修正などの対応も依頼しなければならない場合もあり、費用は膨らむ傾向にあります。
一方、自社開発では社内のマンパワーで開発にあたることから費用が抑えられるだけでなく、スケジュールの調整や仕様の変更にも柔軟に対応することができます。また、自社開発なら、アプリ開発のノウハウを獲得でき、その後の開発も内製化できるのがメリットです。しかしながら、社内のスキルが低い場合、希望どおりのクオリティやスケジュールでアプリが開発できなかったり、他の業務への影響も考慮しなければなりません。この点をカバーする方法として、アプリ開発ツールを利用する方法が考えられます。
アプリ制作会社への依頼
アプリ開発の方法のひとつであるアプリ制作会社への依頼では、選び方によってそのクオリティが大きく左右されます。そこで、実績な豊富なアプリ制作会社として、次のような企業が挙げられます。
モンスター・ラボ
モンスター・ラボは、2,200件を超える豊富な開発実績を持つアプリ制作会社。従来のネイティブアプリ開発に加え、アプリ開発の最新トレンドにも精通しています。ストア申請が不要でOSを問わないPWA、LINEで友だち登録するだけで活用できるLINEアプリなど、サービスに最適な開発手法を提案してもらえるのも大きな特徴です。
ジェナ
ジェナはiPhoneおよびAndroidアプリをこれまでに1,000本以上手掛けています。また、受託開発だけでなくテンプレートを活用したビジネスアプリ制作サービス「seap」を提供しており、これを利用すればプログラミングの知識がなくても自社のオリジナルアプリを作成可能です。ジェナではこの「seap」に関し、特許も取得しています。
フェンリル
フェンリルはiPhoneがリリースされて間もない2008年よりアプリ開発事業を手掛けている制作会社です。交通系電子マネーのアプリや各種サービスの会員向けアプリ、子育て支援アプリなど、これまでに600件以上の実績を持ちます。また、自社開発の制作支援ツール「Brushup」ではグッドデザイン賞も受賞しています。
ガラパゴス
2009年設立と、歴史は浅いながらも多くの有力企業をクライアントに持つのがガラパゴスです。150本以上のアプリ開発実績と先端技術の活用により注目され、AI(人口知能)によりテキストや画像の関係性をマッピングする技術を構築し、販売サイトでは生産性を大幅にアップさせています。
クロス・コミュニケーション
スワイプを先読みしたデータの取得や縦横画面の表示切替、指紋認証によるログインなど、スマートフォンならではの機能を活用したアプリ開発に定評があるのがクロス・コミュニケーションです。証券会社のトレーディングアプリやポータルサイトの公式アプリ、デジタル会員証アプリなどのリリース実績があります。
アプリ開発ツールを使用する
比較的容易に自社内でアプリの開発が可能なアプリ開発ツールにも、多くの種類があります。中にはプログラミングの知識が不要で、無料でスタートできるツールも少なくありません。
yappli
yappliは本格的なアプリ開発に適したツールです。機能やデザインの付加に関して完成度が高く、スタンプカードの機能やiBeaconプッシュ機能など、実店舗運営との相性のよいツールといえます。月額費用がかかるため、まずは30日無料トライアルを利用し試してみるのがおすすめです。
ModuleApps
ModuleAppsは、企業や自治体を対象とした公式アプリ開発サービスです。豊富な機能モジュール(テンプレート)が用意されており、これをアプリに組み込むことにより、短期間・低価格で自社の公式アプリを開発することができます。
アプリワン
アプリワンはプログラミング不要のアプリ開発支援ツールです。ブログ感覚で短時間のアプリ開発が可能なだけでなく、電子カタログや予約機能、お知らせ機能、お問い合わせ機能など様々な機能であらゆる業種に対応します。用意されたアプリをカスタマイズするタイプのツールのため、導入までのスピードを求める際には最適です。
ビルディ
ビルディは直感的に好みのテンプレートや色を選ぶだけでアプリを作成することができます。App StoreやGoogle Playストアへの公開の手続きもでき、アプリのみならずスマートフォン向けのWebサイトも作成可能です。これにより、アプリあるいはWebサイトを利用したニュースやクーポン、プッシュ通知といった豊富な手段で顧客とのスムーズなコミュニケーションを実現します。
Monaca
アプリ開発ツールの中でも高い人気を誇るのがMonacaです。ただし、HTMLやCSS、JavaScriptといった、Web開発で必要な言語のスキルが求められるツールでもあります。このため、社内にWeb開発の知見を持つ場合、特におすすめのツールといえます。このほかクラウド上に高性能なエディタを搭載していることから、ローカル開発環境を用意する必要がないのも特徴です。
アプリ開発についてのまとめ
・企業におけるアプリの開発は顧客との接点を見出し、コミュニケーションを図ることが目的です。
・アプリの開発方法、業種やジャンルによって活用方法は異なります。
・アプリ開発には制作会社に依頼する方法と自社開発方法のふた通りがあります。