経営管理システムとは
経営管理システム(Management Information System、MIS)とは、組織や企業が日常的な業務や、戦略的な意思決定を行なう際に必要な情報を収集、整理、分析し、管理者や経営者に提供するための情報システムです。経営管理システムを使うとさまざまなデータソースを活用できるので、経営陣が効果的な戦略を策定して、ビジネスプロセスを最適化するのに役立ちます。データ分析やレポート生成などの機能を備え、組織の業績を監視して、問題を早期に発見し、機会を最大限に活用するための重要なツールとして活用されます。
ERPと何が違うの?
経営管理システム(MIS)とエンタープライズリソースプランニング(ERP)システムは、いずれも組織内の情報を管理するためのシステムですが、使用にあたっての目的が異なります。ERPは、組織内の基幹システムを統合し、一元化するためのソフトウェアシステムを指します。対して経営管理システムは、特定の業務領域(会計、人事、生産管理など)の効率化や情報管理に焦点を当てています。経理・会計システムを導入する場合はEPRシステムと連携することで、業務効率化をはかることができます。いずれも経営を管理するためには必要なシステムで、最近ではERPの機能も搭載した経営管理システムも増えています。
経営管理システム | ERP |
財務管理、人事管理、生産管理、在庫管理など、企業の経営戦略に必要な業務プロセスをサポートするシステム | 多くの業務領域を統合し、組織内の異なる部門間でデータを共有できるようにするシステム。 |
経営管理システムの主な機能とは?
経営管理システムにはどんな機能があるのでしょうか。下記に主要な機能を紹介します。
データ収集と分析、レポート作成
経営管理システムの大きな特徴は、経営に関する様々なデータを収集し、分析ができることです。収集したデータからリアルタイムのレポートを生成できるため、企業の重要な意思決定に役立ちます。これは企業の透明性を高め、問題を早期に識別するのにも役立ちます。
マーケティング機能
経営管理システムにおいて、データ収集と併せて基本的な要素とも言えるのがマーケティング機能です。自社の経営情報だけでなく、市場調査や顧客ニーズの分析に関連するマーケティング機能も含まれています。これにより、企業は効果的なマーケティング戦略を定めることができ、市場競争力を向上させることができます。
生産管理および販売管理
経営管理システムには、生産管理や原価管理、販売管理なども搭載しています。これにより、在庫管理、生産計画、注文処理などが効率化され、販売活動の効率性を向上させることができます。
労務管理
経営管理システムには、労働者のスケジュール管理、給与計算、従業員のパフォーマンス評価などの労務関連の業務をサポート機能がついたシステムもあります。従業員の満足度やエンゲージメント向上に寄与することで、生産性アップにも繋がります。
経営管理システムを選ぶ際のポイントは7つ
ビジネスニーズの明確化
まず、経営管理システムを導入する目的と、具体的なニーズを正しく把握しましょう。自社の問題点や課題点を洗い出し、どのような業務プロセスやデータ管理が必要かを明確にすることが大切です。
カスタマイズと適応範囲の確認
ビジネスの成長や変化に柔軟に適応できるシステムを選ぶようにしましょう。カスタマイズ性が高く、拡張の対応範囲が広ければ都度システムの見直しや入れ替えをする手間が省けます。
コストと予算の見積もり
システムを入れてみたら意外にも費用が嵩み、予算オーバーした!ということはよくあります。導入および維持コスト調べて、予算内で運用できるかをあらかじめ確認しておきましょう。気になったシステムに見積もりをお願いするのも良いでしょう。
セキュリティとコンプライアンス
当然ですが、経営管理システムでは企業にとって重要なデータを扱うことになります。高いセキュリティを保有し、法的なコンプライアンス要件をきちんと満たしたシステムを選ぶことが重要です。
互換性と使いやすさ
既存のシステムやアプリケーションとの連携がスムーズに行なえるかどうかも重要なポイントです。他のツールとの連携が効率的であることと併せて、使いやすさも確認しておくと無駄な工数やストレスが軽減され、業務がスムーズに進行できます。
サポートとメンテナンスの手厚さ
使用にあたりの不明点や、不測のトラブルなどが発生した場合に適切なサポートとメンテナンスを受けることができるかの確認も必要です。サポートに関しては、問い合わせ方法や対応時間などもチェックしておきましょう。
レビューや口コミのチェック
経営管理システムを選ぶ際は、ユーザーの口コミやレビューも参考にしましょう。自社の同業他社や、類似のビジネスを展開している企業が導入している経営管理システムを確認するのもおすすめです。
おすすめの経営管理システム9選
多くの企業で利用されている著名な経営管理システムを紹介します。
クラウドERP ZAC
項目 | 詳細 |
提供形態 | クラウド、オンプレミス |
タイプ | ERPタイプ |
初期費用 | 初期設定費用:100,000円 導入支援費用:0円~ ※詳細は要問合せ |
月額費用 | 月額136,000円〜、保守費用:月額60,000円〜 |
主な機能 | プロジェクト管理、管理会計、受発注管理、販売管理、予実管理、分析・レポート など |
「ZAC(ザック)」は、販売・購買・勤怠工数・経費管理などの基幹業務が一元化されたパッケージ型ERPです。
案件の情報を見込み段階からシステムに登録でき、売上・原価の予定と実績をあわせた、リアルタイムな損益管理を実現します。各従業員が入力した売上や仕入・勤怠工数といった情報から、プロジェクトごとの原価が自動集計されるため、常にタイムリーで正確な損益着地見込みの把握が可能です。
さらに、サービス・顧客・部署・全社など各セグメントでの損益管理にも役立ちます。
自動配賦による個別原価計算の対応や各種アウトプット帳票の対応など、経営管理業務で発生するバックオフィスの業務を効率化します。
SAP S/4HANA Cloud, public edition
「SAP S/4HANA Cloud, public edition」は、クラウドベースのERP型経営管理システムです。ドイツのソフトウェア企業「SAP」が提供するの最新のデータベーステクノロジー「SAP S/4HANA」が使用され、高速なデータ処理、リアルタイムな分析、高度な予測分析などが可能に。もちろん、システム保守、バックアップ機能、データ保護などのセキュリティ面も万全です。
項目 | 詳細 |
提供形態 | クラウド |
タイプ | ERPタイプ |
初期費用 | 0円 |
月額費用 | 月額40,000円〜 |
主な機能 | 「データベースサービス」「分析処理」「アプリの開発」「データアクセス」「管理」「セキュリティ」のカテゴリごとに様々な機能を搭載 |
「SAP S/4HANA Cloud, public edition」公式サイトはこちら
Sactona(サクトナ)
項目 | 詳細 |
提供形態 | クラウド、オンプレミス |
タイプ | 予実管理、管理会計タイプ |
初期費用 | 要問合せ |
月額費用 | 要問合せ |
主な機能 | 予算編成、予算管理、見込管理、事業計画、経営計画 など |
「Sactona(サクトナ)」は、クラウドおよびオンプレミス環境に対応した経営管理システムです。
管理会計と経営管理のプロセスを効率化し、経営意思決定に必要な情報を得ることができます。
予算編成、予算管理、見込管理、事業計画、予算実績管理などの管理会計および経営管理業務に対応し、連結、部門、製品、支店、販売店、プロジェクトなど、さまざまな領域で利用できます。
DIGGLE
項目 | 詳細 |
提供形態 | クラウド |
タイプ | 予実管理、管理会計タイプ |
初期費用 | 要問合せ |
月額費用 | 要問合せ |
主な機能 | 予実突合、予算策定、見込管理、分析、レポート など |
DIGGLE(ディグル)は、経営データを一元管理し、リアルタイムでの情報共有を可能にするクラウドサービスです。
予実管理に特化した分析機能を持ち、直感的な操作ができる管理システムも魅力です。管理会計の専門システムながら、人員数やKPIなど非財務指標にも対応。
柔軟な権限設定を備えているので、全国展開規模の大手企業にも多数採用されています。
Workday Adaptive Planning
「Workday Adaptive Planning」は、クラウドベースのビジネスパフォーマンス管理ソフトウェアです。
「Microsoft」「TOYOTA」「富士通」ほか、東証一部上場企業に多く導入されている経営管理システムです。
予算の作成、財務予測、レポート、分析などの財務計画業務を支援します。データの統合とグラフを駆使した見やすいレポートにより、リアルタイムの意思決定に役立ちます。他社システムとの自動連携も可。海外五カ国以上に拠点を持っているので、グローバル展開している企業にもおすすめです。
項目 | 詳細 |
提供形態 | クラウド |
タイプ | 予実管理、管理会計タイプ |
初期費用 | 要問合せ |
月額費用 | 要問合せ |
主な機能 | 予算編成、予算計画、営業計画、見込管理、分析・レポート など |
「Workday Adaptive Planning」公式サイトはこちら
Manageboard
予算管理、財務分析、業績シミュレーションなどの機能を搭載した予算管理タイプのシステムです。
予実分析、業績分析などの管理やレポートはもちろん、タグを使った多軸での計画策定や分析を行うことができます。グラフ表示などのレポートが見やすく、慣れていない人にもわかりやすい設計で導入企業も7000社超え。他社の会計ソフトとの連携も簡単にでき、特にマネーフォワードクラウド会計やfreee会計などのクラウド会計とはAPI連携によってワンクリックでデータを取り込むことが可能です。
項目 | 詳細 |
提供形態 | クラウド |
タイプ | 予実管理、管理会計タイプ |
初期費用 | 要問合せ |
月額費用 | 要問合せ |
主な機能 | 予実突合、予算策定、見込管理、分析・レポート など |
board
「board」はBIツール型の経営管理システムです。
リード獲得管理などのSFA・CRM領域から営業管理、案件ごとの損益管理、経営分析、会計領域まで幅広いデータ管理が可能な上、見積書や発注書、請求書の作成なども行なえ、バックオフィス業務が格段にスムーズになります。BIツール型には欠かせない他サービスとの連携も簡単に設定でき、ユーザーフレンドリーなインターフェースで操作も簡単。月額費用もお手頃で導入しやすいシステムです。
項目 | 詳細 |
提供形態 | クラウド |
タイプ | BIツールタイプ |
初期費用 | 要問合せ |
月額費用 | 月額980円〜 |
主な機能 | 見積書や請求書などの各種書類の作成、業務管理、分析・予測 など |
Oracle ERP Cloud
「Oracle ERP Cloud」はOracle社のクラウドERPです。AI(人工知能)を組み込んだEPRスイートで日常の業務プロセスを自動化し、マニュアル作業を排除します。
OCI(Oracle クラウド インフラストラクチャ)という安定したクラウド環境を持っており、オンプレミス型に匹敵する高性能なコンピューティング能力があります。
項目 | 詳細 |
提供形態 | クラウド |
タイプ | 予実管理、管理会計タイプ |
初期費用 | 要問合せ |
月額費用 | 要問合せ |
主な機能 | 管理会計、収益管理、会計管理、分析・レポート など |
Amoeba Pro
「Amoeba Pro」はアメーバ経営や管理会計のPDCAに特化したシステムです。年次計画、月次予定・見通しの登録、承認、集計がリアルタイムに行え、経営課題の把握や業績の着地見込みを可視化することができます。既存の外部システムとの連携も可能。アメーバ経営の知識や、導入経験が豊富なコンサルタントのサポートがあるのも大きな魅力です。
項目 | 詳細 |
提供形態 | クラウド |
タイプ | 予実管理、管理会計タイプ |
初期費用 | 要問合せ |
月額費用 | 65,000円〜 |
主な機能 | 計画策定・実績入力、科目管理、管理会計、経営分析、レポート、会議資料出力 など |
まとめ
・経営管理システム(Management Information System、MIS)は、組織や企業が日常的な業務や、戦略的な意思決定を行なう際に必要な情報を収集、整理、分析する情報システムです。
・経営管理システム(MIS)とエンタープライズリソースプランニング(ERP)システムは、いずれも組織内の情報を管理するためのシステムですが、使用にあたっての目的が異なります。
・経営管理システム(MIS)とエンタープライズリソースプランニング(ERP)システムは、どちらも経営を管理するためには必要なシステムで、最近ではERPの機能も搭載した経営管理システムも増えています。
・経営管理システムを選ぶ際はポイントをチェックして、自社のビジネスモデルや外部環境への適応、自社規模に応じた適切な規模のものを選ぶとよいでしょう。