近年、企業の業務効率化を目的として「RPA」や「AI」を導入する動きが急速に広がっています。
どちらも「作業の自動化」に関係する技術ですが、その仕組みや得意分野には明確な違いがあります。
この記事では、RPAとAIの定義・違い・それぞれの導入メリット、さらに両者を連携させた最新の活用方法までをわかりやすく解説します。

RPAとは ― 定義と特徴
RPA(Robotic Process Automation)とは、パソコン上の定型作業を自動化する「ソフトウェアロボット」のこと。
Excelへのデータ入力やメール送信など、あらかじめ設定されたルールに従って作業を正確にこなします。
🔹RPAでできること
- データ入力・集計などの定型業務の自動化
- 顧客情報の自動検索・表示(例:コールセンター)
- メール・SNS投稿の自動スケジューリング
- 出荷・在庫ステータスの自動更新
RPAは人間のように判断はできませんが、「決まった手順を正確に実行する」ことが得意です。
そのため「仮想知的労働者」とも呼ばれ、事務処理の効率化に欠かせない存在になっています。
AIとは ― 定義と特徴
AI(Artificial Intelligence)は、人工知能を意味します。
大量のデータを分析し、そこから自ら学習・判断して行動するアルゴリズムを指します。
AIは単にルール通り動くのではなく、「経験から学ぶ」ことができるのが大きな特徴です。
🔹AIが活用される分野
- 自動運転システム
- 音声認識・翻訳・チャットボット
- 画像・顔認証による本人確認
- 需要予測や市場分析などのビジネス分析
AIは自ら考え、判断する力を持つため、知的業務の自動化が可能です。
ビッグデータやIoT技術と組み合わせることで、企業の意思決定やマーケティングにも活用されています。
RPAとAIの違い
| 比較項目 | RPA | AI |
|---|---|---|
| 主な目的 | 定型業務の自動化 | 知的作業の自動化 |
| 特徴 | 設定されたルール通りに動作 | 自ら学習・判断して最適な行動を選択 |
| 強み | スピード・正確性・コスト削減 | 学習・予測・意思決定の自動化 |
| 対応範囲 | データ入力、帳票作成など | 音声・画像・テキスト分析、予測分析など |
RPAはルールベースで動くため、想定外の事態には対応できません。
一方、AIは状況に応じて判断・改善ができるため、より高度で柔軟な業務の自動化が可能です。
RPA導入のメリット
- 単純作業を高速・正確に実行
入力ミスが減り、業務スピードが向上します。 - 人材の知的業務への集中
定型業務を自動化することで、社員が創造的な仕事に専念できます。 - 低コスト・短期間で導入可能
プログラミング知識が不要なソフトも多く、中小企業でも導入しやすい。 - さまざまな業種で活用可能
金融・通信・医療・行政など、多くの業界で利用が進んでいます。
RPAは働き方改革の推進ツールとしても注目されています。
AI導入のメリット
- 人手不足の解消
コールセンターやサポートデスクの初期対応をAIに任せ、オペレーターの負担を軽減できます。 - マーケティング精度の向上
ビッグデータを分析し、顧客ニーズや市場トレンドを予測可能。勘や経験に頼らない戦略立案が実現します。 - 業務判断のスピードアップ
AIが過去データを基に最適解を提示するため、意思決定までの時間を短縮できます。
AIはデータドリブンな経営を支える基盤技術として、今後ますます重要になります。
RPAとAIを組み合わせたシステム
最近では、RPAとAIを連携させたハイブリッド型システムが登場しています。
RPAが定型処理を、AIが判断や分析を担当することで、より幅広い業務の自動化が可能になります。
🔹活用例
- チャットボットによる問い合わせ自動対応(AI)+FAQ更新・履歴登録(RPA)
- 書類の文字認識(AI)+データ入力・報告書作成(RPA)
このように両者を組み合わせることで、「人の判断を伴う作業」までも自動化できるようになり、
企業の生産性・品質・スピードを同時に向上させることができます。
まとめ
- RPAは「決められたルールで動く自動化ツール」。単純作業を速く・正確にこなす。
- AIは「自ら学習・判断する知能」。データ分析や意思決定支援を担う。
- RPA+AIの連携により、より複雑で高度な業務の自動化が実現。
RPAとAIの違いを理解し、自社の業務課題に合わせて導入すれば、
人的リソースの最適化と企業競争力の強化が同時に達成できます。

