結論から言います。 PDF圧縮は「なんとなく小さくする」ではなく、仕組みを理解して適切なツールを選ぶことで、品質を維持しながらファイルサイズを最大90%削減できます。
「提案書PDFが重すぎてメール添付できない」「取引先にファイル共有URLを送ったら、セキュリティ上NGと言われた」——BtoBの現場では、こんな場面に日常的に遭遇するのではないでしょうか。
本記事では、PDF圧縮の技術的な仕組みから、オンライン・デスクトップ・コマンドラインの3タイプ別おすすめツール比較、そして品質を保つための実践テクニックまで、BtoB実務で役立つ情報を網羅的にお届けします。
筆者はBtoBサービスを10年以上追いかけてきたツールオタクですが、PDF圧縮ほど「知っているかどうかで業務効率に差がつく」領域はそうありません。ぜひ最後までお付き合いください。

PDF圧縮とは?知っておくべき3つの仕組み
PDF圧縮を正しく使いこなすには、まず「なぜPDFは重くなるのか」「圧縮すると何が変わるのか」を理解しておくことが重要です。ここでは、PDF圧縮で行われる3つの処理を技術的に解説していきます。
画像の解像度を下げるリサンプリング
PDFが肥大化する最大の原因は、ほぼ間違いなく画像です。
たとえば、A4サイズの提案書に300dpiの写真を10枚埋め込むと、それだけで50MB以上になることも珍しくありません。PDF圧縮ツールが最初に行うのは、この画像データの「リサンプリング」と呼ばれる処理になります。
リサンプリングとは、画像の解像度を下げて再サンプリングすることです。具体的には以下のような変換が行われます。
| 変換パターン | 用途 | 削減効果の目安 |
| 300dpi → 150dpi | 画面表示用 | 約75%削減 |
| 300dpi → 72dpi | Web掲載用 | 約95%削減 |
| 300dpi → 200dpi | 印刷も想定 | 約55%削減 |
ここで重要なのは、用途に応じて最適な解像度が異なるという点でしょう。メールで送る提案書であれば150dpiで十分ですし、取引先がそのまま印刷する可能性があるなら200dpi以上を維持したほうが安心です。
フォント埋め込みの最適化
意外と見落とされがちなのが、フォントデータによるファイルサイズの肥大化です。
PDFには、どの環境でも同じ見た目を再現するためにフォントデータが埋め込まれています。特に日本語フォントは文字数が膨大なため、1フォントあたり数MB〜10MB以上になることがあるんです。
PDF圧縮ツールが行うフォント最適化には、主に2つのアプローチがあります。
- サブセット埋め込み … 実際に使用している文字のみを埋め込む方式。たとえば「株式会社ミツカル御中」という文字列しか使っていなければ、その文字分のフォントデータだけを保持する
- フォント統合 … 同じフォントが複数回埋め込まれている場合に、1つに統合する処理
特に、PowerPointからPDF変換した資料は、スライドごとに同じフォントが重複埋め込みされているケースが多いため、フォント最適化だけで20〜30%削減できることもあります。これは覚えておいて損はないでしょう。
不要オブジェクトの削除とストリーム圧縮
PDFの内部構造を覗くと、実は目に見えないデータがたくさん含まれていることがわかります。
- メタデータ … 作成者名、作成日時、使用ソフトなどの情報
- サムネイル画像 … 各ページのプレビュー用画像
- 注釈データ … 編集時に残った非表示のコメントや変更履歴
- 未使用オブジェクト … 編集を繰り返す中で参照されなくなったデータの残骸
これらを削除するだけでも、ファイルサイズは確実に小さくなります。
さらに、PDF内のテキストや図形データは「ストリーム」と呼ばれるデータ構造で格納されていますが、このストリームに対してFlate圧縮(zlibベースの可逆圧縮)を適用することで、品質を一切損なうことなくサイズを削減できます。これは非可逆の画像圧縮とは違い、完全に元通りに復元できるので安心ですね。
PDF圧縮ツールおすすめ8選を3タイプ別に比較
PDF圧縮ツールは大きく「オンライン」「デスクトップ」「コマンドライン」の3タイプに分類できます。それぞれ得意分野が異なるので、自社の業務環境に合わせて選ぶことが大切です。
オンラインツール(ブラウザ完結型)
インストール不要で、ブラウザさえあればすぐに使えるのがオンラインツールの魅力でしょう。出先のPCや、ソフトのインストールが制限されている環境でも使えるのが強みです。
#### Smallpdf
スイス発のPDFツールプラットフォームで、世界中で圧倒的な知名度を誇っています。
- 圧縮レベル: 「基本圧縮」(無料)と「強力な圧縮」(有料)の2段階
- 無料枠: 1日2ファイルまで
- セキュリティ: アップロードしたファイルは1時間後に自動削除。ISO 27001認証取得済み
- 特徴: UIが非常に洗練されていて、ITリテラシーを問わず直感的に操作可能
個人的に、Smallpdfの最大の魅力はその圧倒的なUXの良さだと思っています。ドラッグ&ドロップで放り込むだけで圧縮完了。BtoBの現場で「とにかく今すぐ1ファイル圧縮したい」という場面にはベストマッチです。
#### iLovePDF
スペイン・バルセロナ発のPDF総合ツール。Smallpdfと並ぶ人気を持っています。
- 圧縮レベル: 「極端な圧縮」「推奨圧縮」「低圧縮」の3段階から選択可能
- 無料枠: 制限はやや緩めで、連続使用にも比較的対応
- セキュリティ: サーバーはEU圏内。GDPR準拠
- 特徴: 3段階の圧縮レベルを選べるのが秀逸。用途に応じた柔軟な使い分けが可能
iLovePDFの「3段階圧縮」は実務で非常に重宝します。メール添付用なら「極端な圧縮」、印刷前提の書類なら「低圧縮」と使い分けられるのは、BtoBの多様なシーンに対応できるポイントですよ。
#### PDF Compressor
シンプルさに振り切ったオンライン圧縮ツールです。
- 圧縮レベル: 自動最適化のみ(ユーザーが細かく設定する必要なし)
- 無料枠: 複数ファイル同時アップロード対応
- セキュリティ: ファイルは数時間後に削除
- 特徴: 最大20ファイル同時アップロード可能で、一括処理に強い
「設定とか考えたくない、とにかく一括で小さくしてほしい」という方にはこれが最適でしょう。
デスクトップアプリ(インストール型)
機密性の高い書類を扱うBtoB企業にとって、ファイルをクラウドにアップロードしなくて済むデスクトップアプリは心強い存在です。
#### Adobe Acrobat Pro
PDF圧縮の王道中の王道。PDFの生みの親であるAdobeの純正ツールだけあって、圧縮の精度と柔軟性は頭一つ抜けています。
- 圧縮機能: 「ファイルサイズを縮小」と「最適化されたPDF」の2モード
- 料金: 月額1,980円(税別)〜 ※法人向けボリュームライセンスあり
- 特徴: 画像の圧縮方式(JPEG / JPEG2000 / ZIP)や解像度を個別に設定可能。フォント埋め込みの最適化、不要オブジェクトの選択削除など、圧縮パラメータを細かく制御できる
正直に言うと、圧縮品質の面ではAdobe Acrobat Proが断トツです。「最適化されたPDF」モードで監査対象のオブジェクトを個別に確認しながら圧縮できるのは、ほかのツールにはない強みでしょう。コストに見合う価値は間違いなくあります。
#### PDFelement(Wondershare)
Adobeに比べて手頃な価格で、法人利用にも耐えうる機能を備えたデスクトップアプリです。
- 圧縮機能: 「高」「中」「低」の3段階圧縮 + カスタム設定
- 料金: 永続ライセンス 9,980円(税別)〜 ※サブスクプランもあり
- 特徴: 買い切りライセンスがあるのが嬉しいポイント。圧縮以外にも編集・変換・OCRなど多機能
BtoBで「全社導入したいけどAcrobat Proは高い」というケースで、PDFelementは非常に有力な選択肢になりますね。永続ライセンスの存在は、コスト管理の観点から経理部門にも通しやすいはずです。
#### PDF Slim
国産のフリーソフトで、Windows専用の軽量PDF圧縮ツールです。
- 圧縮機能: 画像の品質・解像度を細かく指定可能
- 料金: 完全無料
- 特徴: インストール不要(ポータブル版あり)。ネットワーク通信なしで完結するため、セキュリティ面は安心
「無料でオフライン処理したい」「インストール申請が面倒」という環境にはぴったりです。ただし、UIは少々古めかしいので、その点は割り切りが必要になります。
コマンドラインツール(自動化対応)
毎日大量のPDFを処理する部署や、ワークフローに組み込みたいケースでは、コマンドラインツールが最強の選択肢になります。
#### Ghostscript
PostScript / PDFインタープリターの老舗であり、PDF圧縮の世界ではレジェンド的な存在です。
- 料金: オープンソース(AGPL)※商用ライセンスも別途あり
- 対応OS: Windows / macOS / Linux
- 基本コマンド例:
gs -sDEVICE=pdfwrite -dCompatibilityLevel=1.4 \
-dPDFSETTINGS=/ebook \
-dNOPAUSE -dBATCH -dQUIET \
-sOutputFile=output.pdf input.pdf
`-dPDFSETTINGS`パラメータで圧縮レベルを制御できるのがポイントです。
| パラメータ | 解像度目安 | 用途 |
| /screen | 72dpi | 画面表示専用 |
| /ebook | 150dpi | メール添付・電子配布 |
| /printer | 300dpi | 印刷用 |
| /prepress | 300dpi+ | 高品質印刷・入稿用 |
BtoBの実務では`/ebook`設定が最もバランスが良く、提案書・見積書の圧縮に適しています。シェルスクリプトやバッチファイルと組み合わせれば、フォルダ内のPDFを一括圧縮する自動化も簡単に実現できますよ。
#### QPDF
PDFの構造変換に特化した軽量CLIツールです。
- 料金: オープンソース(Apache License 2.0)
- 特徴: ストリームの再圧縮やリニアライズ(Web最適化)に強い。画像のリサンプリングは行わないが、不要オブジェクトの削除とストリーム圧縮で着実にサイズを削減
qpdf --optimize-images --linearize input.pdf output.pdf
Ghostscriptとは異なり、QPDFは画像のリサンプリングを行わないため、画質を一切変えずにPDFを軽量化したい場面で真価を発揮します。両者を組み合わせて使うのが、実はPDF圧縮の上級テクニックなんです。
【一覧表】PDF圧縮ツール8選 機能・料金・セキュリティ比較
ここまで紹介した8ツールを横断的に比較してみましょう。BtoBでの導入判断に必要な項目を網羅しています。
| ツール名 | タイプ | 料金 | 圧縮レベル選択 | 一括処理 | API対応 | セキュリティ |
| Smallpdf | オンライン | 無料(1日2回)/ 有料 月額$9〜 | 2段階 | 有料のみ | あり | ISO 27001 |
| iLovePDF | オンライン | 無料(制限あり)/ 有料 月額$7〜 | 3段階 | 有料のみ | あり | GDPR準拠 |
| PDF Compressor | オンライン | 無料 | 自動のみ | 20ファイルまで | なし | ファイル自動削除 |
| Adobe Acrobat Pro | デスクトップ | 月額1,980円〜 | 詳細カスタム | 対応 | あり | オフライン処理可 |
| PDFelement | デスクトップ | 永続9,980円〜 | 3段階+カスタム | 対応 | なし | オフライン処理可 |
| PDF Slim | デスクトップ | 無料 | カスタム | 対応 | なし | オフライン処理可 |
| Ghostscript | CLI | 無料(AGPL) | 4段階+カスタム | スクリプト次第 | N/A | オフライン処理可 |
| QPDF | CLI | 無料(Apache 2.0) | 限定的 | スクリプト次第 | N/A | オフライン処理可 |
BtoBでの選定ポイント
この比較表を見て、どのツールを選ぶべきか迷うかもしれません。以下の判断基準を参考にしてみてください。
- セキュリティ最優先 → Adobe Acrobat Pro or PDF Slim(オフライン処理で機密情報が外部に出ない)
- コスト最優先 → iLovePDF or PDF Slim(無料枠が比較的使いやすい)
- チーム展開 → Adobe Acrobat Pro or PDFelement(ライセンス管理とサポート体制が整っている)
- 自動化・大量処理 → Ghostscript(スクリプトでワークフロー統合が可能)
- とにかく手軽に → Smallpdf(UIの完成度が高く教育コスト最小)
PDF圧縮で品質を落とさないための5つのコツ
PDF圧縮ツールの選定と同じくらい重要なのが、圧縮の仕方そのものです。ここからは、圧縮後の品質を確保するための具体的なテクニックをお伝えします。
1. 圧縮前にPDFの中身を確認する
圧縮を実行する前に、まずPDFの構成要素を把握しておきましょう。
- 画像が多いのか、テキスト中心なのか
- フォントは何種類埋め込まれているか
- ページ数はどれくらいか
Adobe Acrobat Proであれば「ファイル」→「その他の形式で保存」→「最適化されたPDF」→「容量の監査」で、各要素がファイルサイズに占める割合を確認できます。この一手間が、最適な圧縮設定を見極めるカギになるんです。
2. 用途に応じた圧縮レベルを選ぶ
同じPDFでも、用途によって求められる品質が異なります。
| 用途 | 推奨解像度 | 圧縮の強さ |
| メール添付(画面閲覧のみ) | 150dpi | 強め |
| 社内文書管理 | 150〜200dpi | 中程度 |
| 取引先への正式提出(印刷想定) | 200〜300dpi | 弱め |
| 入稿用・アーカイブ用 | 300dpi以上 | 最小限 |
「とりあえず最大圧縮」は避けるべきです。取引先が印刷する可能性のある提案書を72dpiまで落としてしまうと、グラフの数字が読めなくなるリスクがあります。
3. 画像が多いPDFとテキスト中心のPDFで戦略を変える
PDFの中身によって、圧縮で得られる効果はまったく異なります。
画像が多いPDF(製品カタログ、提案書など)
- 画像のリサンプリングが最も効果的
- JPEG品質を80%程度に設定すれば、見た目の劣化はほぼ気にならない
- 期待できる圧縮率は70〜90%
テキスト中心のPDF(契約書、議事録など)
- 画像リサンプリングの効果は薄い
- フォント最適化と不要オブジェクト削除が主な削減手段
- 期待できる圧縮率は10〜30%
テキスト中心のPDFがそもそも大きい場合は、フォントのフルセット埋め込みが原因であることが多いです。この場合、サブセット化するだけで劇的に軽くなることがあるので、ぜひ確認してみてください。
4. 圧縮後に必ず目視チェックする
自動化しているとつい省略しがちですが、圧縮後のPDFは必ず開いて確認しましょう。チェックすべきポイントは以下の通りです。
- グラフ・表の数字が判読できるか
- 写真・図版にブロックノイズが出ていないか
- ロゴや社章のディテールが潰れていないか
- フォントが正しく表示されているか(特に日本語フォント)
- ハイパーリンクやしおりが機能しているか
特にBtoBの提案書では、ロゴの品質劣化は企業イメージに直結します。圧縮後に自社ロゴが滲んでいたら、それだけで印象が下がってしまうかもしれません。
5. オリジナルファイルは必ず保管しておく
これは鉄則です。圧縮済みPDFで元のPDFを上書きしてはいけません。
一度圧縮して失われた画質は元に戻せないため、オリジナルファイルは別フォルダに必ず保管しておきましょう。命名規則の例としては、以下のようなパターンが実務で回しやすいはずです。
提案書_ミツカル様_v2.pdf ← オリジナル
提案書_ミツカル様_v2_compressed.pdf ← 圧縮版
チームで運用する場合は、ファイル命名規則をルール化しておくとトラブルを防げます。
BtoB実務でPDF圧縮を活用する3つのシーン
「PDF圧縮なんてファイルを小さくするだけでしょ」と思われるかもしれません。しかし、BtoBの実務ではPDF圧縮が業務効率やコスト削減に直結する場面が数多く存在するんです。
メール添付での提案書・見積書送付
BtoB営業の現場で最も多いPDF圧縮の活用シーンがこれでしょう。
多くの企業のメールサーバーでは、添付ファイルの上限が10MB〜25MB程度に設定されています。ところが、PowerPointから書き出した提案書PDFは、画像やグラフを多用すると30〜50MBに膨れ上がることも珍しくありません。
ここでPDF圧縮を活用すれば、50MBの提案書を5MB以下に収められます。ファイル共有サービスのURLを送る方法もありますが、取引先によっては外部リンクのクリックをセキュリティポリシーで制限している場合もあるため、メール添付できるサイズに圧縮するというのは今でも重要なスキルです。
社内ドキュメント管理システムへのアップロード
SharePoint、Box、Google Driveなどのクラウドストレージを業務基盤として使っている企業は多いでしょう。これらのストレージはファイル数が増えるにつれて容量コストが積み上がっていきます。
たとえば、月に200件のPDFが蓄積される部署で、1ファイルあたりの平均サイズを20MBから3MBに圧縮できれば、年間で約40GBのストレージ節約になります。Microsoft 365のSharePointでは、追加ストレージが1GBあたり月額約25円ですから、年間で約12,000円のコスト削減です。
金額だけ見れば小さいかもしれませんが、複数部署に展開すればそれなりのインパクトになりますし、何より「ストレージ容量が足りなくなった」という突発的なトラブルを未然に防げるのが大きいですね。
Webサイト掲載用のホワイトペーパー・カタログ配布
BtoBマーケティングでは、リード獲得の手段としてホワイトペーパーやカタログPDFをWebサイトに掲載するケースが一般的です。
このとき、PDFのファイルサイズがダウンロード体験に大きく影響します。モバイル回線でアクセスしているリードが、30MBのホワイトペーパーをダウンロードしようとして途中で離脱してしまったら、せっかくのリード獲得機会を逃してしまいます。
理想的には、ホワイトペーパーは3〜5MB以内に収めるのがベストプラクティスです。表紙デザインや図解が豊富なPDFでも、適切な圧縮を施せばこの範囲に収まることがほとんどでしょう。
PDF圧縮ツールを選ぶときの注意点
最後に、ツール選定時に見落としがちな注意点を3つ挙げておきます。
セキュリティポリシーとの整合性
オンラインツールを利用する場合、PDFファイルが一時的にでも外部サーバーにアップロードされます。これは、自社のセキュリティポリシーや取引先との秘密保持契約(NDA)に抵触する可能性があるため、必ず事前に確認してください。
確認すべきポイントは以下の通りです。
- アップロードされたファイルはいつ削除されるか
- サーバーの所在地はどこか(日本国内か、EU圏内か、米国か)
- 暗号化通信(TLS)は使用されているか
- ISO 27001やSOC 2などのセキュリティ認証を取得しているか
不安がある場合は、デスクトップアプリやコマンドラインツールを使ったオフライン圧縮を選択するのが確実です。
圧縮後のPDF/A準拠性
長期保存を前提としたPDF/A規格に準拠させる必要がある場合は注意が必要です。一部の圧縮ツールは、圧縮処理の過程でPDF/A準拠性を損なうことがあります。
契約書や法定保存文書など、PDF/A準拠が求められる書類を圧縮する場合は、Adobe Acrobat Proの「PDF/A準拠を維持」オプションを有効にするか、圧縮後にPDF/Aバリデーターで検証することをおすすめします。
チーム展開時のライセンス管理
個人利用なら無料ツールで十分かもしれませんが、チームや全社で統一的にPDF圧縮を運用する場合は、ライセンス管理の手間も考慮に入れましょう。
- Adobe Acrobat Pro … Admin Consoleでユーザー管理が可能。VIPライセンスなら人数に応じた割引あり
- PDFelement … ボリュームライセンスで一括導入が可能。永続ライセンスなら年度予算で処理しやすい
- Ghostscript … AGPLライセンスのため、社内利用は問題ないが、自社サービスに組み込む場合は商用ライセンスが必要
ライセンスの管理コストは見えにくいですが、5名以上のチームで運用する場合は、管理のしやすさも選定基準に加えておくべきでしょう。
まとめ|PDF圧縮は「仕組みを知る」ことが最適なツール選びへの近道
本記事のポイントを整理します。
- PDF圧縮の仕組みは3つ … 画像リサンプリング、フォント最適化、不要オブジェクト削除。どこにサイズ削減の余地があるかを把握することが、適切なツール選定の第一歩
- ツールは3タイプ … オンライン(手軽さ重視)、デスクトップ(セキュリティ重視)、コマンドライン(自動化重視)。BtoBでは機密情報の取り扱いを最優先に考える
- 品質とサイズのバランスが重要 … 用途に応じた解像度設定が品質維持のカギ。「とりあえず最大圧縮」は厳禁
- BtoB実務での活用シーンは想像以上に広い … メール添付、ストレージ節約、リード獲得まで、PDF圧縮は地味ながら業務効率を底上げする
筆者がBtoBサービスオタクとして10年以上ツールを追いかけてきた経験から言えるのは、PDF圧縮は「知っている人」と「知らない人」で日常業務の快適さに明確な差が出る領域だということです。
たかがPDF圧縮、されどPDF圧縮。この記事をきっかけに、自社に合ったPDF圧縮の運用を確立していただければ幸いです。
PDF圧縮ツールの導入でお悩みなら、ミツカルにご相談ください。 御社の業務環境やセキュリティ要件に合わせた最適なツールをご提案いたします。
記事本文の補足や、SNS投稿・メルマガ・ホワイトペーパーなどに転用できるTIPSをまとめています。
TIPS 01|PDFが重い原因の8割は「画像」
PDFのファイルサイズが膨れ上がる最大の原因は、埋め込まれた画像データです。テキスト部分は数KB程度ですが、300dpiのフルカラー画像は1枚で数MBになることも。圧縮の第一歩は「画像の解像度を下げる」ことだと覚えておきましょう。
TIPS 02|メール添付なら150dpiで十分
「画質を落としたくない」という気持ちはわかりますが、メールで送って画面で閲覧するだけなら150dpiで必要十分です。300dpiが必要なのは、取引先が印刷する前提の書類だけ。用途を見極めるだけで圧縮率が劇的に変わります。
TIPS 03|PowerPoint→PDFは「フォント重複」に要注意
PowerPointからPDF変換した資料は、スライドごとに同じフォントが重複して埋め込まれることがあります。フォントをサブセット化するだけで20〜30%サイズが減るケースも珍しくないので、変換後に圧縮をかける習慣をつけるとよいでしょう。
TIPS 04|無料オンラインツールの「本当の制限」を知っておく
SmallpdfやiLovePDFの無料プランは手軽ですが、1日あたりの処理回数や最大ファイルサイズに制限があります。「いざというときに使えない」事態を防ぐため、無料枠の条件は事前に把握しておくのがおすすめです。
TIPS 05|機密文書のオンライン圧縮は要セキュリティチェック
オンラインツールにPDFをアップロードするということは、一時的にでもファイルが外部サーバーに保存されるということです。NDA付きの提案書や個人情報を含む書類は、デスクトップアプリかコマンドラインツールでオフライン圧縮するのが安全です。
TIPS 06|Ghostscriptの「/ebook」設定がBtoBの万能選手
コマンドラインでPDF圧縮するなら、Ghostscriptの`-dPDFSETTINGS=/ebook`が最もバランスの良い設定です。150dpi相当に最適化されるため、メール添付から社内共有まで幅広い用途に対応できます。
TIPS 07|「圧縮前のファイル」を捨ててはいけない
圧縮は不可逆処理を含む場合が多く、一度圧縮したPDFから元の品質を復元することはできません。圧縮版とは別に、必ずオリジナルファイルを保管しておきましょう。ファイル名に「_compressed」を付ける命名規則を徹底するのが効果的です。
TIPS 08|圧縮後はロゴとグラフを最優先で確認
圧縮後にチェックすべきポイントは「ロゴ」と「グラフの数字」です。ロゴのディテールが潰れると企業イメージに影響しますし、グラフの数字が読めないと提案の説得力が激減します。全ページを見る時間がなくても、この2点だけは確認してください。
TIPS 09|テキスト中心のPDFは「ストリーム圧縮」が効く
画像が少ないPDFは、画像リサンプリングでは大きな削減効果が得られません。代わりに、ストリームの再圧縮(Flate圧縮)や不要メタデータの削除が効果的です。QPDFはこの用途に特化しており、画質を一切変えずにサイズを削減できます。
TIPS 10|日本語フォントの「フルセット埋め込み」に潜む罠
日本語フォントは文字数が多いため、フルセット埋め込みだと1フォントあたり数MB〜10MB以上になることがあります。実際に使っている文字だけを埋め込む「サブセット埋め込み」に切り替えるだけで、劇的にファイルサイズが減少する場合があります。
TIPS 11|ホワイトペーパーは3〜5MBが理想
リード獲得用のホワイトペーパーPDFは、ダウンロード体験を考慮して3〜5MB以内に収めるのがベストです。モバイル回線からのダウンロードを想定すると、10MBを超えるPDFは離脱率が上がる傾向にあります。
TIPS 12|Adobe Acrobatの「容量の監査」機能が便利すぎる
Acrobat Proの「最適化されたPDF」→「容量の監査」機能を使うと、フォント・画像・メタデータ・ページコンテンツなど、各要素がファイルサイズに占める割合を可視化できます。どこを圧縮すれば効果的かが一目でわかるため、闇雲に圧縮する必要がなくなります。
TIPS 13|PDF/A準拠の文書は圧縮時に注意が必要
長期保存用のPDF/A規格に準拠した文書を圧縮する場合、圧縮処理でPDF/A準拠性が失われることがあります。契約書や法定保存文書は、圧縮後にPDF/Aバリデーターで検証するか、Adobe Acrobat Proの「PDF/A準拠を維持」オプションを使いましょう。
TIPS 14|一括圧縮の自動化はシェルスクリプトで簡単に実現
Ghostscriptとシェルスクリプトを組み合わせれば、フォルダ内のPDFを一括圧縮するワークフローが数行のコードで実現します。毎日大量のPDFを処理する部署では、手作業をなくすだけで年間数十時間の工数削減が見込めるでしょう。
TIPS 15|クラウドストレージのコスト削減にもPDF圧縮が効く
月200件のPDFが蓄積される部署で、1ファイルの平均を20MBから3MBに圧縮すれば、年間約40GBのストレージ節約になります。全社展開すればストレージコストの削減だけでなく、「容量不足」トラブルの予防にも効果的です。
TIPS 16|Ghostscriptの商用利用はライセンスに注意
Ghostscriptは強力な無料ツールですが、AGPLライセンスで提供されています。社内業務での利用は問題ありませんが、自社サービスやSaaSに組み込む場合は商用ライセンスが必要になることがあります。導入前にライセンス条項を確認しておきましょう。
