「新商品のPRにインフルエンサーを起用しろと上司に言われたけど、何から始めればいいんだろう…」
「限られた予算で、本当に効果が出るインフルエンサーPRってどうやるの?」
「ステマ規制とかも気になるし、失敗して炎上したらどうしよう…」
中小化粧品メーカーのマーケティング担当者として、このような悩みを抱えていませんか?インフルエンサーマーケティングが主流となる中、その重要性は理解しつつも、具体的な進め方や費用感、注意点がわからず、一歩を踏み出せない担当者様は少なくありません。
ご安心ください。この記事は、そんなあなたのためのインフルエンサーPR完全ガイドです。
本記事では、インフルエンサーPRの基礎知識から、具体的な依頼方法、費用相場、信頼できる会社の選び方まで、企画から効果測定までの全ステップを網羅的に解説します。よくある失敗事例とその対策も紹介するため、この記事を読めば、あなたの不安は解消され、自信を持って明日からのアクションプランを立てられるようになります。

【知識編】インフルエンサーマーケティングにおけるPRの基礎
まずはじめに、インフルエンサーPRを成功させるために不可欠な基礎知識を整理しましょう。「そもそもインフルエンサーマーケティングとは何か」という基本から、具体的なPRの種類、そして最も気になる費用相場までをわかりやすく解説します。ここをしっかり押さえることで、後続のステップの理解度が格段に深まります。
そもそもインフルエンサーマーケティングとは?
インフルエンサーマーケティングとは、SNSなどで大きな影響力を持つ「インフルエンサー」を通じて、企業が自社の商品やサービスを宣伝・PRするマーケティング手法です。従来のテレビCMや雑誌広告とは異なり、消費者にとって身近な存在であるインフルエンサーが発信することで、広告感が薄れ、より自然な形で情報が届くのが特徴です。
特に、SNSネイティブ世代は企業からの直接的な広告よりも、信頼する個人の口コミを重視する傾向があります。この消費者行動の変化が、インフルエンサーマーケティングが急速に市場を拡大させている大きな要因と言えるでしょう。
インフルエンサーPRの主な種類と目的
インフルエンサーPRと一言で言っても、その手法は多岐にわたります。目的によって最適な手法は異なるため、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。
| PRの種類 | 主な目的 | 内容 |
|---|---|---|
| ギフティング | 認知拡大・UGC創出 | 商品を無償で提供し、インフルエンサーに任意で投稿してもらう手法。比較的低コストで始められる。 |
| イベント招待 | 話題化・ブランディング | 新商品発表会やブランドの記念イベントに招待し、その様子を発信してもらう。臨場感や特別感を伝えやすい。 |
| ライブコマース | 販売促進 | ライブ配信でインフルエンサーが商品をリアルタイムで紹介・販売する。視聴者と双方向のコミュニケーションが取れる。 |
| タイアップ投稿 | 認知拡大・理解促進 | 報酬を支払い、企業の意向に沿ったPR投稿を作成してもらう最も一般的な手法。クリエイティブの自由度は様々。 |
| アンバサダー契約 | ブランディング・ファン育成 | 特定のインフルエンサーと中長期的な契約を結び、ブランドの顔として継続的にPR活動を行ってもらう。 |
例えば、新商品の認知度を短期間で一気に高めたい場合は「タイアップ投稿」、ブランドの世界観を深く伝えたい場合は「アンバサダー契約」が有効です。自社のマーケティングフェーズと目的に合わせて、最適なPR手法を選択しましょう。
気になる費用相場は?料金体系を徹底解説
インフルエンサーPRの費用は、主に「フォロワー単価」で計算されるのが一般的です。これは「フォロワー数 × 2円~4円」が目安とされています。例えば、フォロワー10万人のインフルエンサーに依頼する場合、20万円~40万円が1投稿あたりの相場となります。
ただし、これはあくまで目安です。インフルエンサーの影響力(エンゲージメント率の高さなど)、専門性、媒体(Instagram、YouTubeなど)によって単価は変動します。また、料金体系には他にも固定料金制や成果報酬型などがあります。
以下に、インフルエンサーのランク別の費用感を示します。
| インフルエンサーランク | フォロワー数 | 費用相場(1投稿あたり) | 主な役割 |
|---|---|---|---|
| トップインフルエンサー | 100万人~ | 数百万円~ | 大規模な認知獲得、話題化 |
| ミドルインフルエンサー | 10万人~100万人 | 20万円~100万円 | 専門分野での権威付け、認知拡大 |
| マイクロインフルエンサー | 1万人~10万人 | 3万円~20万円 | 特定コミュニティへの深いリーチ、購買促進 |
| ナノインフルエンサー | 1,000人~1万人 | 数千円~数万円(ギフティング中心) | 身近な口コミ創出、エンゲージメント獲得 |
予算が限られている場合は、複数のマイクロ・ナノインフルエンサーに依頼する方が、トップインフルエンサー1名に依頼するよりも高い費用対効果を得られるケースも少なくありません。
自社に合うのはどれ?インフルエンサーPRの4つの依頼方法
インフルエンサーにPRを依頼する方法は、大きく分けて4つあります。それぞれにメリット・デメリットがあり、自社のリソースや目的、予算に合わせて最適な方法を選ぶことが成功への第一歩です。ここでは、各依頼方法の特徴を詳しく見ていきましょう。
1. インフルエンサーへの直接依頼(ダイレクトキャスティング)
企業担当者がSNSのDM(ダイレクトメッセージ)などを通じて、インフルエンサーに直接PRを依頼する方法です。仲介業者がいないため、中間マージンが発生せず、コストを最も抑えられる可能性があります。また、担当者の熱意が直接伝わりやすく、インフルエンサーとの良好な関係を築きやすい点もメリットです。
一方で、インフルエンサーの選定から交渉、契約、投稿管理、効果測定まで、すべての業務を自社で行う必要があり、膨大な手間と時間がかかります。また、インフルエンサーの質を見極めるノウハウがない場合、期待した効果が得られないリスクもあります。
2. インフルエンサープラットフォームの活用
インフルエンサープラットフォームとは、PRを依頼したい企業と、仕事を受けたいインフルエンサーを繋ぐマッチングサービスです。多数のインフルエンサーが登録されており、フォロワー数やジャンル、過去の実績などのデータから、自社の条件に合う人材を効率的に検索・選定できます。
比較的安価な手数料で利用できるサービスが多く、直接依頼の手間を大幅に削減できるのが魅力です。ただし、プラットフォームによってはサポート体制が限定的で、企画立案や複雑な交渉は自社で行う必要がある場合が多いです。ある程度自社にノウハウがある企業向けの選択肢と言えます。
3. インフルエンサー事務所(プロダクション)への依頼
インフルエンサー事務所(プロダクション)は、特定のインフルエンサーが所属している芸能事務所のような存在です。事務所に依頼することで、所属しているインフルエンサーとのPRを実施できます。事務所がインフルエンサーの教育や管理を行っているため、投稿の質が高く、トラブルが少ないのが大きなメリットです。
しかし、依頼できるのはその事務所に所属しているインフルエンサーに限られるため、選択肢が狭まる可能性があります。また、事務所のマネジメント費用が含まれるため、直接依頼やプラットフォーム利用に比べて費用は高くなる傾向にあります。
4. PR会社・広告代理店への依頼
PR会社や広告代理店に依頼する方法は、インフルエンサーPRに関する業務をワンストップで任せられるのが最大の特徴です。これまでの豊富な実績やノウハウに基づき、戦略立案からインフルエンサーの選定、企画、交渉、効果測定までトータルでサポートしてくれます。
ステマ規制などの法規制にも詳しいため、安心して任せられる点も大きなメリットです。ただし、サポートが手厚い分、手数料は4つの方法の中で最も高額になるのが一般的です。初めてインフルエンサーPRに取り組む企業や、社内にリソースがない企業に最適な選択肢です。
【比較表】4つの依頼方法のメリット・デメリットまとめ
ここまで解説した4つの依頼方法について、それぞれの特徴を一覧表にまとめました。自社の状況と照らし合わせながら、最適な方法を検討してみてください。
| 依頼方法 | メリット | デメリット | こんな企業におすすめ |
|---|---|---|---|
| 直接依頼 | ・コストを抑えられる ・熱意が伝わりやすい | ・手間と時間がかかる ・ノウハウが必要 ・リスク管理が大変 | ・予算が非常に限られている ・社内に専門知識を持つ担当者がいる |
| プラットフォーム | ・効率的に探せる ・工数を削減できる ・比較的低コスト | ・手数料がかかる ・サポートは限定的 ・インフルエンサーの質は様々 | ・ある程度自社でディレクションできる ・多くの候補から比較検討したい |
| 事務所 | ・インフルエンサーの質が高い ・トラブルが少ない ・窓口が一本化されている | ・所属インフルエンサーに限られる ・費用が比較的高め | ・起用したいインフルエンサーが決まっている ・質の高いPRを実施したい |
| 代理店 | ・ワンストップで任せられる ・戦略的な提案が受けられる ・リスク管理も安心 | ・手数料が最も高額になる傾向 | ・初めてで何から始めればいいかわからない ・社内にリソースがない ・大規模なキャンペーンを実施したい |
【実践編】インフルエンサーPRを成功に導く7ステップ

依頼方法を決めたら、いよいよ実践です。インフルエンサーPRは、闇雲に進めても成果にはつながりません。ここでは、企画から効果測定まで、施策を成功に導くための具体的な7つのステップを解説します。この流れに沿って進めることで、失敗のリスクを最小限に抑えられます。
ステップ1:目的(KGI・KPI)の明確化
まず最初に、「何のためにインフルエンサーPRを行うのか」という目的を明確にします。ここが曖昧だと、施策全体がブレてしまいます。最終的なゴールであるKGI(重要目標達成指標)と、そこに至るまでの中間指標であるKPI(重要業績評価指標)を具体的に設定しましょう。
例えば、「新商品の売上を前月比120%にする」がKGIであれば、KPIは「インフルエンサー投稿のリーチ数100万」「エンゲージメント率3%」「特設サイトへのクリック数5,000」といった数値目標になります。目的を数値化することで、施策の評価基準が明確になります。
ステップ2:ターゲットとペルソナの設定
次に、「誰に、何を伝えたいのか」を具体化します。ターゲット層の年齢、性別、興味関心などを詳細に設定し、可能であれば架空の人物像である「ペルソナ」まで作り込みましょう。
例えば、20代後半の働く女性向けの化粧品であれば、「都内で働く28歳女性、佐藤さん。情報収集はInstagramがメインで、オーガニックコスメに関心が高い」のように具体的に設定します。ペルソナが明確であればあるほど、そのペルソナに響くインフルエンサーや企画内容を選びやすくなります。
ステップ3:依頼方法の選定とインフルエンサーのリストアップ
ステップ1と2で設定した目的とターゲットに基づき、前の章で解説した4つの依頼方法から最適なものを選びます。その後、具体的なインフルエンサーのリストアップに移ります。
この際、フォロワー数だけで選ぶのは危険です。重要なのは、フォロワーの属性が自社のターゲットと一致しているか、そしてエンゲージメント率(いいね、コメント、保存などの反応率)が高いかという点です。普段の投稿内容やコメント欄の雰囲気も確認し、ブランドイメージに合う人物かを慎重に見極めましょう。
ステップ4:PR企画の立案とインフルエンサーへの打診
インフルエンサーの候補が決まったら、具体的なPR企画を立案し、打診を行います。企画を立てる際は、企業が伝えたいメッセージを一方的に押し付けるのではなく、インフルエンサー自身の言葉や世界観で語ってもらうことが成功の鍵です。
インフルエンサーに依頼内容を打診する際は、丁寧な言葉遣いを心がけ、以下の情報を明確に伝えましょう。
- 依頼の背景(ブランドや商品の紹介)
- 依頼したい投稿内容(コンセプトや訴求ポイント)
- 希望する投稿日時
- 報酬や提供する商品について
- 契約に関する条件
ステップ5:契約とオリエンテーションの実施
インフルエンサーとの間で条件が合意できたら、必ず契約を書面で締結します。口約束はトラブルの原因になります。契約書には、投稿内容、投稿回数、投稿期間、報酬、二次利用(企業のSNSアカウントや広告での利用)の可否と範囲、ステルスマーケティング防止のためのPR表記義務などを明記しましょう。
契約後は、オリエンテーションを実施し、商品やブランドへの理解を深めてもらうことも重要です。インフルエンサーが商品に愛着を持ってくれれば、より熱量の高い、魅力的な投稿が期待できます。
ステップ6:PR投稿の実施とモニタリング
いよいよPR投稿の実施です。投稿前には、必ず最終的なクリエイティブ(写真、動画、テキスト)を確認させてもらいましょう。この時、薬機法や景品表示法などの関連法規に抵触していないか、そしてステマ規制対策として「#PR」などの広告表記が正しく入っているかをダブルチェックします。
投稿後は、コメント欄の反応などをモニタリングします。ポジティブなコメントだけでなく、ネガティブな意見や質問にも真摯に対応することで、企業の信頼性を高めることができます。
ステップ7:効果測定とレポーティング
施策が完了したら、必ず効果測定を行い、次のアクションに繋げることが重要です。ステップ1で設定したKPIが達成できたかを検証しましょう。
見るべき指標には、リーチ数、インプレッション数、エンゲージメント数・率、サイトへの遷移数、コンバージョン数などがあります。これらの数値をまとめ、施策の成果や改善点を分析したレポートを作成し、上司や関係部署に共有します。この振り返りが、次回のインフルエンサーPRをさらに成功させるための貴重な財産となります。
失敗しないPR会社・プラットフォームの選び方
インフルエンサーPRを外部のパートナーに依頼する場合、その選定は施策の成否を大きく左右します。数多くの会社の中から、自社に最適なパートナーを見つけるためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。ここでは、会社選びで失敗しないための重要なチェックポイントを解説します。
選定前に確認すべき5つのチェックポイント
パートナーを選定する際には、少なくとも以下の5つのポイントを確認しましょう。
- 実績の豊富さと得意ジャンル: 自社と同じ業界や商材でのPR実績が豊富かを確認します。化粧品、食品、BtoBなど、ジャンルによって成功のノウハウは異なります。具体的な成功事例を提示してもらいましょう。
- 担当者の専門性とコミュニケーション: 担当者がインフルエンサーマーケティングに関する深い知識を持っているか、また、コミュニケーションが円滑で、こちらの意図を正確に汲み取ってくれるかは非常に重要です。
- インフルエンサーの質とネットワーク: どのようなインフルエンサーを、どの程度抱えているのかを確認します。単にフォロワー数が多いだけでなく、エンゲージメント率が高く、質の良いインフルエンサーを提案してくれるかが鍵です。
- 料金体系の透明性: 見積もりの内訳が明確で、何にどれくらいの費用がかかるのかが分かりやすい会社を選びましょう。「一式」などの曖昧な見積もりを出す会社には注意が必要です。
- レポーティングと分析力: 施策後の効果測定をどのような指標で行い、どのような形式で報告してくれるのかを事前に確認します。数値を羅列するだけでなく、そこから得られる示唆や次の施策への提案までしてくれる会社が理想的です。
【タイプ別】おすすめのパートナー像
PR会社やプラットフォームは、その特徴によっていくつかのタイプに分けられます。自社のニーズに合わせて、どのタイプのパートナーが最適かを見極めましょう。
- 総合代理店型: あらゆる業界・規模のPRに対応可能で、戦略立案から実行まで一気通貫でサポートしてくれます。インフルエンサーPRだけでなく、他の広告施策と連動させた大規模なキャンペーンを企画したい場合におすすめです。
- 専門特化型: 特定の業界(例:美容、ゲーム)やSNS(例:Instagram、TikTok)に特化している会社です。その分野に関する深い知見と強力なインフルエンサーネットワークを持っています。専門性の高いPRを求める場合に最適です。
- プラットフォーム提供型: 企業が自らインフルエンサーを検索・依頼できるツールを提供しています。ディレクションや企画はある程度自社で行えるが、インフルエンサーを探す手間を省きたいという場合に適しています。コストを抑えやすいのが特徴です。
【応用編】事例から学ぶ成功の秘訣と失敗回避術
知識や手順を理解した上で、実際の事例から学ぶことは非常に重要です。ここでは、具体的な成功事例のポイントと、多くの企業が陥りがちな失敗パターンを解説します。他社の成功と失敗から学び、自社のPR戦略をさらに磨き上げましょう。
【BtoC編】成功事例から学ぶPR戦略
化粧品やアパレル、食品などのBtoC領域では、インフルエンサーPRの成功事例が数多く存在します。成功している施策に共通するのは、「ブランドの世界観とインフルエンサーの親和性」です。例えば、オーガニックコスメブランドが、普段からナチュラルなライフスタイルを発信しているインフルエンサーと組むことで、フォロワーは広告と感じることなく、自然に商品を受け入れます。
また、「UGC(ユーザー生成コンテンツ)の創出」を促す企画も効果的です。「#〇〇(商品名)使ってみた」のようなハッシュタグキャンペーンを実施し、インフルエンサーの投稿をきっかけに一般ユーザーの口コミ投稿が連鎖することで、爆発的な認知拡大につながります。
【BtoB編】競合と差がつくインフルエンサー活用術
SaaSツールや法人向けサービスといったBtoB領域でも、インフルエンサーPRは有効です。BtoCと異なる点は、「信頼性」と「専門性」がより重要視されることです。単に知名度があるだけでなく、その業界の専門家や、特定分野で深い知見を持つビジネス系インフルエンサーを起用することが成功の鍵となります。
例えば、会計ソフトのPRであれば、人気税理士のYouTuberに実際の使用感をレビューしてもらう、といった形です。専門家による解説は、製品の信頼性を高め、導入検討の決め手となり得ます。競合の多くがまだ手を出していないBtoB領域でこそ、インフルエンサーPRは大きな差別化要因になります。
これだけは避けたい!よくある失敗事例とその対策
インフルエンサーPRには、残念ながら失敗もつきものです。しかし、事前に失敗パターンを知っておけば、そのリスクを回避できます。
- 失敗例1:フォロワー買いの偽インフルエンサーに依頼: フォロワー数は多いものの、コメントが不自然なものばかりでエンゲージメントが極端に低い場合、フォロワーを購入している可能性があります。これではPR効果は全く見込めません。
- 対策: 依頼前にエンゲージメント率やコメントの内容をしっかり確認する。専門ツールでフォロワーの質を分析するのも有効です。
- 失敗例2:ターゲット層とズレて炎上: ブランドイメージと合わないインフルエンサーを起用した結果、「このブランドはこういう方向性なの?」と既存ファンが離れたり、批判が殺到したりするケースです。
- 対策: ペルソナ設定を徹底し、インフルエンサーの普段の投稿内容やフォロワー層を綿密にリサーチする。
- 失敗例3:ステマを疑われる: 「#PR」などの広告表記がなかったり、目立たない場所に記載されていたりすることで、ステルスマーケティングを疑われ、ブランドの信頼を大きく損なうことがあります。
- 対策: 次の章で解説するステマ規制を正しく理解し、誰が見ても広告であることが明確にわかる表示を行う。

【重要】ステマ規制(景品表示法)を正しく理解する
インフルエンサーPRを実施する上で、絶対に避けては通れないのが「ステルスマーケティング(ステマ)規制」です。これは景品表示法に関わる重要な法律であり、違反すると企業の信頼を失墜させるだけでなく、法的な罰則の対象にもなり得ます。担当者として必ず押さえておくべきポイントを解説します。
2023年10月から施行!ステマ規制の概要
2023年10月1日から、景品表示法においてステルスマーケティングは明確に禁止されました。これは、企業がインフルエンサーなどに金銭や商品の提供といった対価を支払って宣伝を依頼しているにもかかわらず、その事実を隠して、あたかも個人の純粋な感想であるかのように見せかける表示を規制するものです。
重要なのは、規制の対象となるのはインフルエンサーではなく、広告主である企業であるという点です。つまり、インフルエンサーがPR表記を忘れた場合でも、その責任は依頼した企業が負うことになります。担当者はこの点を肝に銘じ、徹底した管理を行う必要があります。
PR投稿で必須の「広告」明記方法
では、具体的にどのように表示すればよいのでしょうか。消費者庁のガイドラインでは、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」といった文言を、消費者がすぐに認識できる分かりやすい方法で表示することが求められています。
例えば、Instagramのフィード投稿であれば、文章の冒頭に「〇〇社様から商品提供をいただきました #PR」と記載したり、ハッシュタグの中に「#広告」を入れたりする方法が一般的です。また、Instagramの「タイアップ投稿タグ」など、各SNSプラットフォームが用意している広告表示機能を活用することも強く推奨されています。インフルエンサー任せにせず、企業側が明確な表示方法を指示することが不可欠です。
まとめ:インフルエンサーPR成功の鍵は戦略的準備にある
本記事では、インフルエンサーPRの基礎知識から具体的な依頼方法、成功のための7ステップ、そして注意すべきステマ規制までを網羅的に解説しました。
インフルエンサーPRの成否は、場当たり的な依頼ではなく、事前の戦略的な準備で決まります。明確な目的を設定し、ターゲットを深く理解した上で、自社に最適な依頼方法とインフルエンサーを選定すること。そして、関連法規を遵守し、誠実なコミュニケーションを心がけること。これらが、失敗リスクを最小限に抑え、効果を最大化するための鍵となります。
この記事で得た知識をもとに、まずは社内で「何のために、誰に、何を伝えたいのか」を整理することから始めてみてください。あなたのインフルエンサーPRが成功裏に終わることを心から応援しています。

